「開かれた市政をつくる市民の会」 −市民と共にすすめる鳥取市政を!− ![]() 「開かれた市政をつくる市民の会」事務所:〒680-0051 鳥取市若桜町39(ロゴス文化会館3階) tel:090-8247-5488 mail: mailto@sustainabletori.com |
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・「市庁舎問題」
・ 「本庁舎跡地活用に関する委員会報告」を読んであきれた!(2018.10.11)
(1)「現庁舎は耐震性が無いから、一刻も早く新築移転」を主張していた本人が、なぜ現庁舎保存案に転向?
9/25に市会議員九名によって構成される「本庁舎跡地等活用に関する調査特別委員会の最終報告案」(P1, P2)が公表された。これを入手して一読してみたのだが、実にあきれるほかはないというのが正直な感想である。実にあいまい、かつ玉虫色の内容でしかない。九名の市会議員が11回も会合を開いた結果、この委員会が明確に出した結論は唯一つ、「第二庁舎の早期解体」だけであった。他の点については、何事も市執行部がさらに検討すべきというものだ。年に約800万円の税金を報酬として受け取っている議員さんたちが頭を突き合わせて長時間議論した結果が、たったこれだけなのである。
現本庁舎の解体については意外にも先送りとの結論だ。2014年12月の位置条例可決によって市立病院跡地への新築移転が決定するまで、新築移転に賛成している与党議員の一貫した主張は、「現本庁舎は耐震性に欠けて危険だから、一刻も早く新庁舎を建てて引っ越すべき」というものであった。それが新庁舎が約一年後に完成しようという今の時期になってから、唐突に「現本庁舎の有効活用を検討すべきだ」と言い出した。「現本庁舎は危険」とのいままでの主張はどこへ行ったのだろうか? 実に不思議だ?現庁舎が利用可能と言うのなら、2012年の住民投票で多数の市民が支持した「耐震改修案」のままで良かったではないか!約100億円もかけて新本庁舎を建てることを強引に決めた連中が、いまさら何を言い出すのか?
さらに、この報告書中には「「中心市街地活性化基本計画」の二核二軸にこだわらず・・」とあるが、鳥取駅と鳥取城址を二核、それらをつなぐ若桜街道と智頭街道を二軸とする「二核二軸構想による中心市街地活性化基本計画」は現在も継続中であり、今年度から第三期に入ったばかりである。与党議員もこの活性化計画に賛成してきたのだが、市本庁舎を駅南の市立病院跡地に移転する構想を協力に推し進めてきたのも同じく与党議員の面々である。市本庁舎が市立病院跡地に移転してしまえば、若桜街道の通行者数が今以上に減少することは火を見るよりも明らか。互いに矛盾する政策に賛成して市政の混乱を引き起こしておきながら、与党議員が一向に反省のかけらすら見せないことにはあきれるほかはない。初めて鳥取市を訪れた観光客や出張者は、市のメーンストリートである若桜街道の大半が既にシャッター通りと化しているのを見て「これでも県庁所在地か」と一様に驚いている。市本庁舎の移転後は、この惨状がさらに悪化することは確実である。
ここで、この委員会の構成メンバーを確認してみよう。委員長は最大与党である会派新生の上杉議員だ。竹内前市長、深沢現市長と共に一貫して本庁舎の新築移転を推進してきた人物である。秋山議員は、2014年11月の市議選では新築移転案への態度をあいまいなままにしておいて、当選後に一転して新築移転推進に回り位置条例可決を決定づけた人物である。この委員会の前身である「庁舎整備特別委」で新築移転案に一貫して反対してきた橋尾議員と伊藤議員も含まれており、構成からみれば多士済々というところだろう。
さて、今回の委員会報告が玉虫色になった最大の原因は、上杉委員長が現本庁舎の再利用に異常に固執し続けたためだそうである。あれだけ「現庁舎は危険だから、一刻も早く新庁舎を建てるべき」と主張し続けた御本人が、今度は主張を百八十度転換して現庁舎の保存を力説するとはなんとも不思議な話である。
現本庁舎の耐震性については、市内の設計業者である(株)白兎設計が「本庁舎は耐震性が国交省の基準を満たしておらず危険」との報告書を2009年に市に提出、これがきっかけとなって新築移転案が出てきたのである。(ちなみに同社は現在建設中の新本庁舎の設計にも加わっている。約9年前の投資が今になって同社の売り上げに貢献しているというわけだ。)この報告書に対して国交省の前身である旧建設省の研究所元幹部の方が「この耐震性の計算内容には疑問点が多数ある」と読売新聞記事で指摘したが、竹内前市長はこの指摘を完全に無視した。
この指摘にあるように、階段室のコーナーに設けた斜め壁の存在によって壁全体の強度が大幅に増すことは、技術者にとっては基本的な常識である。またコンクリート重量を実際の五割増しで計算したことも含めると、当時、白兎設計が故意に耐震性を低める条件を仮定して現本庁舎の耐震性を計算したことは確実であろう。
(白兎設計の診断では、現本庁舎の耐震性を示すIs値は0.20であり、Is値0.30以下では震度6強の地震で倒壊・崩壊の恐れがあるとしている。しかし、2016年10月に発生した鳥取県中部地震で旧鳥取市内は推定震度5弱の揺れに見舞われたが、本庁舎も第二庁舎も、ガラス一枚すら割れてはいない。)
参考までに、現庁舎の中心部分にある二つの階段室とその間のエレベーター二基で構成される「耐震コア」の断面図を下に示す。白兎設計は、この現庁舎の核心部にある耐震構造の存在を全く無視して計算し、「耐震性が低い」との報告を市に提出したのである。その責任は極めて重いと言わねばならない。
上杉議員は会派新生の最古参議員であり、四年前の市議選では約3300票を集めてトップ当選している。彼の支持基盤が公共事業の関連業界であることは、鳥取市政を知る誰もが認めるところである。思うに、巨額の公共工事さえ実現できるのであれば、政策が互いに矛盾しようがしまいがどうでも構わない、というのが彼の基本的な政治スタンスなのではないか。自分の支持層の利益になりさえすれば、その結果として市政が混乱しようが、市民負担が増そうが、彼にとってはどうでもいいように見える。
上杉議員が従来の危険性指摘の主張を引っ込めて、現状の庁舎の利用を主張し始めたのは、「現本庁舎に関連する新しい公共事業のネタ」を何か見つけたためではないだろうか。さらに、白兎設計の報告書では「耐震性が低い」とされてはいるが、実際の耐震性は十分に高くて今後も十分に使用に耐えることを、あらかじめ知っていたのではなかろうか?
今回、この何が言いたいのかさっぱりわからない委員会報告書と共に、跡地利用のボールが上杉委員長から深澤市長へと投げられた。既にこの両者の間で話は付いているのかも知れないが、次は市長から我々市民に対して跡地利用の具体策というボールが投げられる番となる。またしてもいい加減な話に騙されないためにも、これ以上の無駄遣いを認めないためにも、市民みんなで本庁舎跡地利用の成り行きをしっかりと監視しましょう。
(2)市民の代表者を集めたはずの「現本庁舎跡地等活用に関する検討委員会」の公募委員の選考方法は正当か?
現庁舎の跡地利用を検討する委員会は、市議会の委員会以外にも、もう一つある。市民誰でもが応募できる公募委員を含む委員会、しばしば「専門家委員会」とも呼ばれている。鳥取市の歴代市長は、表面上は、この種の民間からなる委員会の答申を尊重して市執行部の方針を打ち出すことが慣例となっている。今春の水道料大幅値上げの場合でも、深沢市長は「松原雄平鳥大教授を委員長とする「鳥取市水道事業審議会」の値上げ案答申に沿って実施」と述べている。現庁舎の跡地利用を審議する委員会「現本庁舎跡地等活用に関する検討委員会」の公募委員三名の公募は八月に締め切られ、八月末に第一回の会合を終えている。
この委員会の委員のリストを確認していただきたい。一般市民の代表であるはずの公募委員は、14名の委員中、わずかに3名である。残り11名は各種団体から市長が指名・委嘱して選んでいる。この各種団体というのも、鳥取市には多種多様な民間委員会が多数存在しているが、各委員会に共通してほぼ同じ団体から委員が選出されているのである。例えば、「連合婦人会」の代表は、この委員会も含めて市の大半の委員会に委員を送り込んでいる。市内の町内会で婦人会が存在している所は少数のはず。婦人会独自の活動すら不活発な現状でもあり、連合婦人会の活動実績というものは絶えて聞いたことがない。
さて、当「開かれた市政をつくる市民の会」(略称「市民の会」)の前身の団体は、2012年5月に市庁舎新築移転の是非を問う住民投票実現の主力となった「市庁舎新築移転を考える市民の会」(以下、旧「市民の会」)である。旧「市民の会」は2011年3月に結成されたが、この会を立ち上げた主要メンバーの多くは、今でも現「市民の会」の幹事として活動を続けている。過去の経緯からして当然のことではあるが、当会には、市庁舎整備の問題点や経緯に関する知識については、並みの市議会議員や市職員よりもはるかに詳しいメンバーが揃っている。今回の「跡地利用委員会」の委員三名の公募に際しては、当会からも二名の会員が応募した。両名ともに、旧「市民の会」の立ち上げの時点から会の活動を先頭に立って主導してきた頼りになる仲間である。
この委員選考の結果はどうだったか。残念ながら当会から応募した二名はそろって落選した。選考終了後に市担当者に確認したところ、三名枠に対して全部で七名が応募したとのこと。応募要件は、二十歳以上であること、平日に開かれる委員会に出席可能なこと、「まちづくりを進めるうえで必要なこと」をテーマに400字程度に意見をまとめて提出すること、以上の三条件のみであった。落選した二人は「作文の出来がよほど悪かったのかな」と笑っていたが、確率的に見て七名中三名のうちに、当会の二名がそろって入らなかったというのはなんとも意図的な感じを受ける。
選考方法が意図的ではないかという疑惑は、選出された三名の公募委員の背景を見るとさらに深まる。日本青年会議所の鳥取支部にあたる鳥取青年会議所の役員名簿を参照すると、宍道委員と谷上委員の二名ともに同団体の役員を務めている。市が一団体から公募委員三名中の二名も選出したのは、公平性の観点から見て極めて問題がある。
さて、日本青年会議所とはいったいどのような団体なのだろうか。ネットで少し検索してみたが、評判のよい団体とはとうてい言えないことがすぐにわかった。今年初めには、公式SNS上で「宇予くん」(右翼ん)なるキャラクターがヘイトスピーチを連発し、猛抗議を受けてアカウントを削除したお粗末さが話題になっていた。泥酔した同会会員が全国各地で主としてわいせつ系の事件を引き起こしたという記事もたくさん出てくる。興味のある方は「日本青年会議所+事件」で検索されるとよいだろう。どうやらこの団体の主な仕事とは、頻繁に飲み会を開いてバカ騒ぎすることらしい。
日本青年会議所の会員の大半は経営者の二代目、三代目とのことである。生まれた時から将来が約束されている「生まれながらの勝ち組」に属している会員が多いようだ。そうでない方も中にはいるのだろうが、彼らの多くは社会改革については消極的な傾向なのだろう。改革の結果、現在の利益配分システムが変えられてしまっては、自分たちの勝ち組としての位置が脅かされることになるからである。この団体のメンバーの一般的な傾向としては、市政の根本的な改革を目指すどころか、逆に、彼ら勝ち組と非正規職等の負け組の間の分断・固定化を促進する方向に進むのではないだろうか。
この公募委員の選定を担当した市企画推進部政策企画課には、市政の情報公開の観点から、以下の点について明らかにする義務があると考える。
@ 当会所属の会員二名を、ともに公募委員に選定しなかった理由は何か?
A 公募委員に鳥取青年会議所の会員を二名も選出した理由は何か?
B 落選した四名の中には11月の市議選に立候補を予定している一名も含まれていた。この人物を選定しなかった理由は何か?
鳥取市のこの種の民間による委員会には様々な問題が山積している。公募委員の人数が委員全体の数に比べて著しく少ないこと、委員を出している各種団体の選定理由が不透明であること、これら団体委員は市長の一存で選定されていること、委員会が提出した答申は何の法的拘束力も持たずその採用は市長の意向しだいであること、等々。一言でいえば、これらの民間委員会は、あたかも市民の代表者で構成されているようにうわべだけは見せかけながら、その実質は市長が望む政策の方向に賛成し拍手するだけの「翼賛委員会」に堕してしまっている。この問題については、今後の記事であらためて詳しく述べる予定である。
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・いよいよ、8/2(水)に市庁舎新築工事の入札を実施!! (2017.7.29)
新庁舎新築工事の入札が迫ってきました。8/2に本庁舎棟の建築工事の入札、8/9には本庁舎棟の電気・給排水・昇降機の入札が実施される予定です。新庁舎建設の大部分について、この二日間で請け負う業者と費用が決まることになります。詳しい内容については、市の公式サイト「鳥取市新本庁舎建設工事発注方針」をご覧ください。
この入札で注目されるのは、以下の点です。
@深澤市長が市民に約束した建設予定費用の約98.4億円以内で本当に収まるのか?
新庁舎の建設費用については、鳥取市民は何度もダマされて来ました。今までの経過を簡単に振り返ってみましょう。
平成24年5月の住民投票で耐震改修案が市民に圧倒的に支持された直後から、竹内前市長と市議会与党は耐震改修案の見直しが必要と執ように攻撃。あげくの果ては、住民投票で否定された新築案を作った設計会社である日本設計に耐震改修案の再検討を依頼。当然のように日本設計は、耐震改修案に要する費用を住民投票時の原案20.8億円からから大幅につりあげて、33.2億円もかかると発表。さらに、市当局は付帯費用として土壌汚染対策費などの10.2億円が必要と発表。(この土壌汚染対策費用は対策すべき土壌の量を二倍に膨らませたデタラメな計算に基づくものでした。)平成24年10月には地元紙が「これら費用の合計で耐震改修案は実際には43.4億円もかかる」、「当初案よりも大幅増」と大きな見出しでと大々的に報道。市民に「耐震改修案は実際には実現困難」との意識を刷り込みました。その上で、竹内前市長はあらためて市庁舎新築案を進めると表明し、庁舎整備の方針は降り出しに戻ってしまったのです。
事態が再び動き出したのは平成26年4月の市長選の後です。竹内前市長から後継者として指名された深澤現市長が、庁舎新築に慎重な姿勢を示していた二人の新人を抑えて辛くも勝利。深澤候補の得た得票は全有効票数の36.6%でしかありませんでした。さらに、同年11月の市議選で新築案に反対して当選した秋山市議が一転して新築賛成に回ったことで、同年12月には庁舎移転新築の位置条例が可決されてしまいました。この時点で市当局が市議会と市民に対して示していた新庁舎建設費用は65.6億円でした。
さて、翌年の平成27年5月、市は突然、新庁舎建設費用を従来の五割増しの98.4億円に訂正しました。その理由は、資材・労務費の高騰と消費税の5%から8%、さらに10%への引き上げによるとの説明です。しかし、資材・労務費は平成23年の東日本大震災の直後から既に大幅に高騰していました。また、消費税は平成26年4月にはすでに5%から8%に引き上げられており、位置条例可決の時点では平成29年4月にさらに10%に引き上げることが安倍首相の当時の公約となっていました。これらの費用増の要因とそれに基づく費用の再計算を怠った状態で、議会と市民に対して真の費用予測を説明することも全くなしに位置条例の採決を強行したことは、市長の市民に対する裏切り、ゴマカシと言う以外には形容する言葉がありません。
二度あることは三度あると言います。鳥取市は、またしても今回の入札の機会に乗じて建設費用をつり上げるつもりでいるのでしょうか?新庁舎予定地では既に地盤改良工事が始まっています。この工事の入札は今年5月に行われ、市内の藤原組・千代田工務店が2.95億円で落札しました。仮に、新庁舎建設費用が98.4億円に収まったとしても、付帯費用であるこの地盤改良工事を含めれば既に百億円を越えていることになります。日本設計による再検証によって「非常に高額」な金額である43.4億円へと訂正された耐震改修案の費用の、すでに約2.3倍です。この先どこまで膨らむのでょうか?
A談合によって、既に受注業者が決定しているそうだが?
この庁舎新築工事の本庁舎建設工事については、市内の建設業界ではどこが受注するか、すでに常識になっているそうです。大手ゼネコンのT建設と地元のD建設の組み合わせで決定済みとのこと。本当にそうなるのか、要注目です。
B万が一、入札不成立になったら、建設費用が大幅に跳ねあがることは必至!
予想される最悪の展開は、入札が不成立に終わって工事費が高騰することです。呉市の新市庁舎は昨年完成しましたが、入札が
二度にわたって不成立となり、三度目の入札でようやく工事業者が決定したとのこと。その結果、総事業費は当初の150億円の予定が167億円に膨らんだそうです。簡単な説明が次の記事に載っています。「呉市+庁舎建設」で検索すると詳しい情報が得られます。
「工事費膨張、入札行方は・・・(読売)」
鳥取市民の皆さん!まずは8/2の入札結果に注目しましょう。これ以上のムダ遣いは許せません!今まで、市当局のムダ遣いを許してきた結果が、最近の上下水道料金の値上げ等、公共料金の値上げとして我々の財布の中身を直撃しているのです。
入札の結果は、当日の夕方のローカルニュースか、翌日の朝の紙面で報道されるものと思います。
/以上
・新庁舎の発注方法に関する公開質問状の回答を受け取りました。 (2017.4.7)
市長宛てに提出していた新庁舎発注方法に関する公開質問状の回答を3/31に受け取りました。回答の全文を下記に示します。
「新本庁舎建設工事発注方法等に関する公開質問状(回答)」
以下、この回答の概要を説明します。
「質問」 「回答」
(1)工事における「高い技術力」とは何か? ⇒ 免震構造等の先進機能を持つ大規模建築物を短期間で完成させる施工能力
(2)「市外業者」には市外の県内業者を含むのか? ⇒ 「市外業者」としては、市外の県内業者も含んでいる。
(3)工事の主導権をゼネコンに取らせない方策は? ⇒ 庁舎棟建築工事等の三区分の工事については市外業者参加が必要。
(4)ゼネコンの影響力を排除するために当会が提案した三種類の発注方法に関する市長の見解は? ⇒ (詳細は後述)
(5)入札の競争性を確保するための方策は? ⇒ 検討委員会の提言を尊重することで競争性を確保
事前に予想されていたことですが、行政側回答の多くは、例によって意図的に論点をはぐらかしています。例えば、質問(3)については、市長の回答は当会の質問に対する回答には全くなっていません。ゼネコンが工事の主導権を取ることを、当然のこととして容認した上での回答とみてよいでしょう。
質問(4)の@で、当会は「地元業者3社により、JVを組んで受注(但し、基礎杭、免震ゴム設置を分離発注)」とする方式を提案しています。これに対する市長回答は、「基礎杭、免震ゴムは庁舎の一部で、一体となって初めて機能を発揮するものであり、また、一体として発注することで建物全体の信頼性を担保できるものと考えています。」との内容でした。
この回答内容の前半部分は当然その通りなのですが、それとこの回答の後半部分とは全く論理的に結びつきません。基礎杭と免震ゴムが庁舎の全体構造の中で十分に機能するかどうかは設計会社の設計しだいです。建物全体を受注するJVがどのような構成になろうとも、実際の工事においては、基礎杭と免震ゴムの設置工事はそれぞれの専門業者が施工することには変わりがありません。さらに実際の工事においては設計会社(この場合は久米設計等)が施工を監理することになっています。大手ゼネコンを排除して工事を実施することも、実質的には十分可能です。
そもそも、この部分の市長回答における「一体として発注する」という文言の意味自体が不明です。JVにゼネコンが入ろうが、地元業者だけによる構成でであろうが、JVが建物全体の工事を一体として受注することには変わりがありません。地元業者の積極的な応札を期待したいと思います。
市の計画では、今年六月から順次入札業務が開始されることになっています。もう、これ以上の負担増には我慢できません!不当な入札結果とならないように市民全体で監視を続けましょう。
/以上
・新庁舎の発注方法に関する市長宛ての公開質問状を提出しました。 (2017.03.17)
先月、市長が委嘱した新本庁舎建設工事の発注方法に関する検討委員会の提言書が公表されました。
「新本庁舎建設工事発注方法等に関する提言書」
深澤市長は、この提言書の内容を参考としながら、今年の四月には新本庁舎の地盤改良工事の入札、六月には庁舎本体の建設工事に関する入札務を開始する予定としています。(以下の図は、新庁舎建設に関する調査特別委 資料より抜粋)
当会では、最近の他の自治体における建設事例の内容を参考に今回の検討委員会による提言書の内容を検討した結果、この内容のままでは、特に庁舎本体の建築工事については、入札時に談合が発生して競争性が十分に確保できない可能性があると結論するに至りました。そこで、我々が抱いた疑問点を指摘するとともに、入札業務の透明性・競争性の確保に対する市長の姿勢を確認することを目的として公開質問状を提出することにしました。公開質問状の全文を以下に示します。
「新本庁舎建設工事発注方法に関する公開質問状」
概要は以下のようになります。
(1)今回の提言書の問題点の指摘
@「分離分割発注」方式の採用だけでは、ゼネコンの談合を阻止することは困難。
現在建設中の鳥取県立中央病院の建替工事の入札時には、この提言書の主張と同じく、建築工事と電気工事、空調工事等を分割して発注する「分離分割発注方式」が採用された。しかし結果的には、病棟本体の建築工事の応札はゼネコンの清水建設を主体とする共同企業体一社のみにとどまった。さらに、県側が想定していた予定価格136.1億円が入札前に非公表であったにもかかわらず、清水建設等が応札時に提示した価格は実に予定価格の99.90%に達しており、入札前の予定価格の漏えいは確実と思われる。この例に見るように、単に「分離分割発注」を採用するだけでは、ゼネコンが主導する談合を阻止することは困難である。
A 入札不調で再入札となった場合の対処はどうするのか?
さらに別の例として、現在問題となっている東京都の豊洲卸売市場の例を挙げた。同市場の主要三棟の合計の初回入札予定価格628億円に応札する企業は無く、再入札時には予定価格が65%増の1035億円となった。この予定価格は再入札前に公表されており、再入札の結果、ゼネコン大手の鹿島、清水、大成をそれぞれ主体とする三つの共同企業体が、各一棟ずつを分け合って入札した。予定価格に対する入札価格は三者ともに99.8%以上であった。
この例では、各ゼネコンが事前の談合で応札する棟を決めていたこと、また、東京都が再入札時の予定価格を各ゼネコンと下打合せをして決めていたことは確実であろう。今回の提言書には、このような自治体とゼネコン間の予定価格の下打合せを防ぐための提言は何ひとつ含まれていない。
B 過去において、市議会の全会派は一致して、地元業者に可能な限り工事参入機会を与えることで、この事業へ投資した資金の地域内での循環を図るべきであると主張してきたが、その主張は実現できるのか?
今回の提言書では、庁舎棟建築工事、電気工事、空調工事については高い技術力が必要であるとして、市外業者と市内業者からなる共同企業体を推奨している。しかし、市外業者として大手ゼネコンを選定した場合、工事の利益の大半はゼネコンに吸い取られてしまうのがこの種の事業の通例となっている。また、そのような場合には、実質的な工事要員の大半も県外のゼネコンの系列業者を連れてくるケースが多い。大手ゼネコンの参入については一定の制限を設けない限り、地元経済の活性化につながらないと考えるが、この要望書にはそのような記載はない。
以上の指摘を背景として、次の五つの質問を3/8に深澤市長宛てに提出しました。回答期限としては三月末を要望しています。
内容のある回答が帰って来ることを期待しましょう。
・「市外業者」が必要な理由として工事には「高い技術力」が必要としているが、「高い技術力」の具体的な内容は何か?
・市外の鳥取県内業者も「市外業者」と見なしてよいのか?
・仮に大手ゼネコンの参入を認めた場合、ゼネコンに工事の利益配分の主導権を取られないようにする方策はあるのか?
・地元業者が共同企業体の主体となる方式(詳細は質問状に記載)も数種類考えられるが、市長の考えはどうか?
・入札予定価格の漏えいを防ぐことが絶対に必要だが、市長の考えている防止策は?
従来の日本の保守系政治家の政治資金調達方法としては、特に必要でもない公共事業にあれこれと理由を付けて事業予算を確保し、その工事を大手ゼネコンに高額な見積で受注させ、その利益の一部を筋書きを描いた自分自身にキックバックさせるというやり方が主流でした。東京都の豊洲市場の建設工事などはその典型例であり、多額のカネが口利きをした複数の都議に還流した疑いが極めて濃厚です。
鳥取市での一連の市庁舎新築移転騒動の経過を振り返ってみれば、まさにこのシナリオ通りに進行してきたと感じます。住民投票では圧倒的多数で否決された新築移転案を、前市長があの手この手を使って全国で初めて住民投票結果をひっくり返したこと。新築移転が決まった後で、前市長が指名した後継者である現市長が、当初の予定金額よりも五割も高い建設費用を持ち出してきたこと等々、本当に筋書き通りです。あとは、六月からの入札で大手ゼネコンに落札させれば一件落着、ゼネコンから政治家への資金還流のところは闇の中となります。この筋書きを描いた政治家が誰かは、言うまでもないでしょう。
鳥取市政を混乱させ、住民投票結果を否定すると言う全国初の暴挙に出た政治家が、今後国政に出ることは「鳥取の恥」以外の何ものでもありません。このような政治家に巨額の政治資金がわたる可能性を根底から断つために、また、我々市民の今後の金銭的な負担を少しでも軽くするために、この新庁舎の入札経過について市民全体で監視を強めて行きましょう。
/以上
・新庁舎予定地の土壌汚染調査結果は、疑問点だらけ! (2016.12.06)
ここであらためて、新庁舎予定地の土壌汚染調査の現状を整理してみましょう。
@ なぜ、土壌調査の調査深さを明らかにしないのか?
公開質問状の再質問では土壌調査方法の詳細の公開を求めていますが、市長は一貫して詳細を明らかにしていません。11/16にこの件で担当部署である庁舎整備局を訪れ、直接口頭で要求しました。その後、庁舎整備局は調査結果を追加公開しましたが、測定値のみであり、測定深さは依然として非公開です。市は土壌汚染対策法に沿って調査を実施していると再三強調しているのでしているので、同法に規定されている通りに、表層から50cm未満の土壌しか測定していないとみてよいでしょう。
現本庁舎耐震改修案が住民投票で圧倒的に支持されてから四か月後の平成24年9月、市は現本庁舎の敷地内の土壌汚染調査結果を公表しました。この調査結果によれば、市民会館前のD-1地点では表層から1m深さまではヒ素溶出量は基準値を下回っているものの、深さ2mでは逆に上回っています。
なお、市は、この調査結果の中のA-3地点のデータを元に、耐震改修案でこの地点に設置する予定であった半地下駐車場のための土壌処理費用として約5.9億円が必要と公表。市民に対し、住民投票時の建設費用よりも相当高額になるとの印象を刷り込みました。A-3地点の一点しか測定していないのに、そのデータをもって駐車場予定地が全て同様にヒ素に汚染されているとみなすのは、明らかなゴマカシと言うほかはありません。
基本設計によると、新庁舎の地下部分は貯水タンクと免震装置を設置するために数m掘り込むことになっています。表層しか測定していないのに、その下の土壌は全て安全として掘り出して安易に処分してしまうならば、周辺住民も含めた市民に対する安全が確保されているとは到底言えません。
A 移転予定地の新庁舎建設部分だけがヒ素汚染が無いのは、なぜか? 単なるラッキーか?
右に市の土壌汚染調査の結果を示します。上は去年9月の30m四方区画ごとの調査結果であり、黄色の区画がヒ素溶出量が基準値を超えた所。下の図は、今年2月に実施した10m区画ごとの調査結果で赤色の部分がヒ素が基準値を超えた区画です。上の図でヒ素が基準値以下であった白色部分の30m区画については、10m区画に細分化しての調査から除外されています。
さて、図の中の青いラインで囲った所が本庁舎の建設予定地です。(下の10m区画の図の下側端付近に小さな囲みが三点ありますが、これは売店等の付属施設で、地下への掘り込みは無いものと推定。)
一見して判るのは、本庁舎を建設する部分では、そのほぼ全てにわたってヒ素が基準値を超えていないということです。地下深くまでがこの通りであるとするならば、建設時に本庁舎建設部分から掘りだした土壌は何の処理もする必要は無く、そのまま適当な所に捨ててもかまわないと言うことになります。施主である鳥取市にとっては、土壌処理費用がほとんど不要となり、まことに都合の良い調査結果であると言えます。
ついでながら、このように都合良くヒ素非汚染区画が集中して分布する確率を計算してみました。30m区画の図で考えるとして、下の幅の狭い区画は無視して上側二列の計14区画だけに注目します。このうちの非汚染区画は7区画であり、一区画が非汚染となる確率は7/14=1/2。非汚染区画がデタラメに分布しているとすると、上の図のように非汚染区画が六個も連続して整列する確率は、(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)=1/64=約1.56%と非常に小さい。深澤現市長は、まことに運が良い!
ちなみに、この調査を実施した会社は、鳥取市内にあるアスコという会社とのこと。行政側にとっては、実に使い勝手の良い会社のようです。
今後、今までの不十分なデータだけを元に「新庁舎建設予定地の下にはヒ素は無い」として、汚染されている可能性がある土壌を掘りだして安易に処分されることがないように、十分な監視が必要と思います。四年前に現本庁舎敷地内で行ったように、庁舎建設予定地には深さ方向も含めた調査を追加実施して、さらに詳しいデータを取得することが、市の当然の責務です。
B ヒ素以外の有害物質は本当に無いのか?
以上の二回の土壌調査は表面から50cm以内しか測定していない可能性が極めて強いのですが、表面から約1m深さまでは外部から持ち込んだ盛土で覆われています。市立病院があった当時の本来の土壌は、その盛土の下にあるものと思われます。
ここで疑問が浮かびます。外部から持ち込んだ盛土なのに、なぜその中からヒ素が出るのか?答えは、ヒ素の酸化物が極めて水に溶けやすいという点にあると思います。ヒ素は自然界では酸化物として存在しますが、このヒ素酸化物の溶解度は水1Lに対して20gと極めて水に溶けやすい。予定地の地表はアスファルト舗装で覆われており、その下の土壌内部の湿度はほぼ100%と見てよい。毛管現象で、下の土壌からヒ素が水とともに盛土中に拡散・移動してきたものと推定されます。
ヒ素は水と共に移動しますが、水銀はほとんど水に溶けません。土壌中の水銀の有無を調べるには、東京の豊洲卸市場で行ったように水銀蒸気を検出するのが一般的です。
もっとも、市はすでに市立病院職員から当時の医療廃棄物の処理方法を聞いて十分に把握しているものと思います。水銀等を含む廃棄物を敷地内に埋めていたのであれば、その場所を掘って回収し法に従って処分すれば済むだけの話です。いつまでもコソコソと情報を隠し続けているようでは、新庁舎と市当局に対する市民の疑いと不信がさらに募るだけでしょう。市当局の英断を期待します。
/以上
・「新庁舎建設に関する公開質問状」の再質問状に対する市長回答を受け取る。
新庁舎予定地の土壌汚染調査の方法は、依然、非公開のまま! (2016.11.16)
10/26に市長宛てに提出した再質問状に対する市長回答が11/8に返ってきました。原文を以下に示します。
「再質問状に対する市長回答」
回答内容の概要と、それに対する当会コメントを以下に表としてまとめました。
「再質問状と回答、当会コメントの概要」
再質問のCでは、既に実施した新庁舎予定地の土壌汚染調査の調査方法の詳細の公開を求めていますが、市からの回答は「市ホームページでの公開を検討する」とあるだけです。公開を約束しているわけでも、公開期限を明示しているわけでもありません。
先の「第二回 市民の会学習会」で明らかにしたように、土壌汚染対策法で定めている調査方法では、土壌の表面から深さ50cm以内を調べればよいとされています。一方、新庁舎予定地の舗装の下には、外部から持ち込まれたと思われる盛土が約1mの厚さで存在します。市が土壌汚染対策法に沿って調査を実施していたのであれば、「ヒ素以外の有害物質は無かった」との今回の調査の結論は、予定地の土壌が安全であることの証明にはなりません。
厚生省が水銀等の有害物質が含まれる医療廃棄物処理のガイドラインを示したのは1989年。それ以前は、病院から出る医療廃棄物は各病院の自主的な処理に任されていました。戦後すぐにこの新庁舎予定地に移転して以来、1995年に的場地区に移転するまで約50年間もこの地にあった旧市立病院でこれらの処理を行った職員は、まだ、その多くが市立病院職員として勤務しているはずです。市長は、彼らから当時の廃棄物処理の具体的な方法を聞きだして、その詳細な聞き取り結果を市民に対して公開するべきであると思います。
当会では、今後も市長に対して新庁舎建設に関する全面的な情報公開を求めていく予定です。
/以上
・9/15に当会が提出した「新庁舎建設に関する公開質問状」に対する市長からの回答を受け取りました。(2016.10.15)
先月の9/15に当会が提出した深澤市長宛ての公開質問状に対して、当会の回答希望日である10/12には市長からの回答が返ってきました。当方の回答希望期日までに回答があったことに関しては一定の評価をしたい。ただし、今回の質問状の個々の項目に対する市長からの回答内容については、質問の本来の趣旨に対して故意に的を外した回答等が目立ち、十分な内容であるとは到底言えません。
市長からの回答の全文を下に示します。なお、当会が提出した質問状はこのページの下の9/18付けの記事中に示しています。
「新市庁舎建設に関する公開質問状(市長回答)」
現在、この回答に対する当会としての見解を作成中ですが、各質問項目とそれに対する市長の回答、及び簡単なコメントの一覧を次のPDFファイルに示します。当会からの正式な見解は、来週中にはこのサイトに掲載する予定です。
「公開質問状の質問、回答の概要の一覧表」
なお、この質問状、及び市長からの回答や、その他市政全般に関するご意見をお持ちの方は、当会の広報宛てにメールをお送りください。ご意見の内容にもよりますが、今後は当サイト上で、市民の皆様の鳥取市政に関するご意見を紹介することも検討したいと思います。
/以上
・深澤市長宛てに「新市庁舎建設に関する公開質問状」を提出しました。「新庁舎予定地は水害に会う危険性が高いが、その対策は?予定地の土壌中には水銀などの廃棄物は無いのか?」等々。(2016.9.18)
先日の9/15に、深澤鳥取市長宛てに新市庁舎建設に関する公開質問状を提出しました。この質問状は十項目の質問と各質問の背景説明からなるものです。下をクリックすると全文が表示されます。当会としては、10/12(水)までの回答を要望しています。
「新市庁舎に関する公開質問状(PDF)」
以下、この質問状の概要を示します。この質問状では @防災面、A環境面、B費用面の三つの観点から、新庁舎建設に際して問題となると思われる点を挙げたのちに各質問を記載しています。
@防災面
(1−1)水害対策
新庁舎建設予定地は千代川水系と新袋川との合流点から数百mの地点にあり、県東部のほぼ全域に降った雨水が一点集中する合流点のごく近くに位置している。市が現在公表している防災総合マップによると、洪水発生時には、この予定地周辺の浸水予想深さは現庁舎の周辺に比べてかなり深くなるものと予想されている。特に予定地の西側隣接地域は2〜5mもの深さまで浸水すると想定されている。
さらに問題なのは、国交省の資料によれば、この新袋川との合流点付近の千代川の現在の堤防高さでは、豪雨の際に想定される流量が堤防を越えて市街地へと流れ込むことを防ぐことができない点にある。千代川流域を二日間累計で二百数十mmの豪雨が襲った場合、この合流点の周辺の堤防を越えて氾濫が発生する可能性が極めて高い。
【質問1】
現在立案中の新庁舎設計案では、水害対策として庁舎基礎を1.2mかさ上げするとの事ですが、主要道路への接続路を水没しない高さまでかさ上げしなければ、この新庁舎は防災拠点としての用をなしません。市庁舎の周辺が水没した場合、周辺道路との連絡をどのようにして確保する予定なのか、詳細をお示しください。
【質問2】
多数の災害対策要員の新庁舎への集合、かつ救援物質の迅速な搬入のためには、庁舎だけのかさ上げでは無意味であり、大面積の駐車場の確保は不可欠です。駐車場のかさ上げも必至と考えますが、市長としての見解はいかがでしょうか。また、駐車場のかさ上げを実施する構想があるのであれば、そのために要する費用もお示しください。
(1−2)地震対策
今年の七月、政府の地震調査研究推進本部が、中国地方でM6.8以上の地震を引き起こす活断層に関する長期評価を発表した。
これによると、中国地方でM6.8以上の地震が起こる確率は、鳥取県、島根県東部と中国山脈東部を合わせた「北部」に限れば、今後30年間に40%の発生確率と極めて高くなっている。鳥取市周辺では、73年前に発生した鳥取地震を引き起こした鹿野・吉岡断層を含めた三か所の活断層がこの長期評価予想の対象となっている。このうち、吉岡断層は鳥取駅よりも若干南の地点を通っているものと推定される。鳥取地震では鳥取駅周辺、さらに駅よりも南側の集落での家屋全壊割合が高く、吉岡断層に近い地点ほど激しく震動した可能性が高い。
(1−3)地震発生時の地盤液状化対策
平成23年に市が実施した地質調査結果によれば、新庁舎建設予定地の地盤に含まれる砂質層によって「地震時に液状化する可能性がある」ことが指摘されている。また、予定地の地下水位は地表から約1.6m下と非常に高い位置にあり、液状化発生の危険性をさらに高めている。
【質問3】
地盤液状化対策は本庁舎のみについて実施すればよいというものではありません。大地震発生時に敷地内の広い範囲で液状化が発生して駐車場が使用不能になるようでは、この新庁舎は災害対策拠点としての意味をなさないことになります。その結果として、新庁舎をこの地に移転するための理由として市長自身が主張されてきた「総合防災拠点としての新庁舎構想」を自ら否定することにもなります。駐車場も含めた敷地全体の液状化対策は必至と考えますが、市長の見解はいかがでしょうか。液状化対策を実施されるのであれば、その費用も合わせてお示しください。
【質問4】
さらに、予定地周辺の国道等の道路では、大地震発生時でも液状化は発生しないのでしょうか?
予定地敷地内で液状化が発生しなくても、周辺道路で液状化が発生して車の通行が不可能な場合には、新庁舎は災害対策の拠点とはなり得ません。予定地と同様に、予定地周辺の地盤も砂質層が主と予想されるため、液状化の可能性は高いことが予想されます。そのような場合、災害対策はどのように実施される予定でしょうか?
【質問5】
上で示した新庁舎予定地の水害、地震災害の危険性に関する資料は、鳥取市自らが作成されたものを多く含んでいます。当然、この予定地が現庁舎敷地よりも災害に会う危険性がより高いことは、従来から市長自ら認識されていたはずです。それにもかかわらず、付帯費用も含めれば優に百億円を超えることが必至な費用負担を負ってまで、なぜ新築移転を強硬に推し進めようとされるのでしょうか?
市長の責務は、より少ない費用をもって、市民が災害に会う危険性をより少なくする方策を実現することにあるはずです。現在、市長が実施しようとしている方向は、市長の本来の責務とは全く正反対の方向を向いていると感じます。多くの犠牲者の尊い命と引き換えることによって得た過去の貴重な災害経験に対して、深澤市長は謙虚に学ぶべきであると思います。
あらためてお尋ねします。深澤市長は、現在の市庁舎敷地よりも水害・地震災害の危険性がより高いことが客観的に見て明らかな市立病院跡地に、あくまでも市庁舎新築移転を実施する予定なのでしょうか?
A環境面
(2−1)ヒ素による土壌汚染と対策費用
新庁舎建設予定地の土壌中でも、(自然現象に由来する)基準値を超えるヒ素が含まれていることが、既に昨年11月の市議会新庁舎建設特別委で報告されている。庁舎整備局は引き続き調査してヒ素汚染の広がりを明らかにするとしていたが、その調査結果はどうであったのか?
【質問6】
昨年以来の調査で明らかになった移転予定地のヒ素汚染の調査結果の、速やかなる公表をお願いします。
また、現本庁舎の耐震改修案を検討した2012年当時、市執行部は現庁舎敷地内のヒ素汚染土壌対策費として5億9千万円が必要と見積もりました。これと同様に見積もった場合、新庁舎建設予定地での土壌対策費はいくらになるのでしょうか?速やかに試算し、公表されたい。
(2−2)過去に存在していた工場・病院からの汚染の有無の確認
新庁舎建設予定地は、戦前から現在のグンゼ(株)の製糸工場として利用されてきた。戦後は市立病院敷地として利用されていた。1995年に市立病院が的場地区に移転してからは、市営駐車場として運用中である。
近年、日本全国では病院跡地の他用途への転用に際し、土壌汚染問題が数多く発生している。病院跡地土壌の分析によって、水銀、鉛、六価クロム等の有害物質が環境基準値を超えて土壌中に含まれていることが次々に明らかになっている。特に水銀については、問題が発覚した全ての病院跡地で基準値を超える濃度が確認されている。また注射針等の医療廃棄物が病院跡の土の中から発見されたケースもある。
医療系廃棄物の処理方法については、1989年の厚生省のガイドラインによって外部委託処理方法が細かく定められた。それ以前は、各病院が院内で処理する場合には特段の規則は無く、医療系廃棄物を敷地内に埋設処分するケースも多かったものと推定される。旧鳥取市立病院でも、ガイドライン作成以前は医療系廃棄物を敷地内に埋設投棄していた可能性が高い。
【質問7】
この移転予定地が工場、さらに病院として利用されていた期間中に、産業廃棄物や医療廃棄物は適切に処理されていたのでしょうか。土壌中の有害物質の有無を、実際に土壌を分析して調査することは必要不可欠と考えます。当然、市としても調査を実施されるものと思いますが、調査計画の詳細について説明をお願いします。
(3) 費用面
(3−1)本庁舎建物構造の耐用年数
久米設計による新庁舎の基礎設計では、「4. 建物の長寿命化」として、「(1) 耐久性が高く堅牢な構造体を採用し、100 年使い続けることのできる庁舎とします。・・」と100年の長寿命をうたっている。現在予定している新庁舎の建物構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)+ 鉄骨造(梁の一部)であるが、従来、市は鉄筋コンクリート造、及び鉄骨鉄筋コンクリート造の耐用年数は65年、鉄骨造は38年であると一貫して主張してきた。今回の基礎設計案の耐用年数は、従来の市の主張とは矛盾するものである。
さらに市は、鉄筋コンクリート造の耐用年数が65年であることを根拠として、鉄筋コンクリート造である現本庁舎の耐震改修案を一貫して拒否してきた。今回の基礎設計案を容認するのであれば、現本庁舎も耐震改修によって耐用年数100年まで、即ち2064年まで使用することも可能となるはずである。住民投票で圧倒的に支持された現庁舎耐震改修案を市が拒否し続けてきた根拠を、今回、市執行部自らがくつがえしている。
【質問8】
この夏に公表された新庁舎の基礎設計案において、鉄骨鉄筋コンクリート造であっても100年間の長寿命化が実現可能であることを認めた根拠を詳細にお示しください。この建物構造の寿命に関する見解は、明らかに従来の市の見解と完全に相反しています。なぜ従来の見解を180度変えるに至ったのか、その経過をご説明ください。
(3−2)ライフサイクルコストの「見える化」
また、基礎設計案では、「6. ライフサイクルコストを縮減しつつ環境評価の高い庁舎」を実現するとし、「(1) イニシャルコストだけでなく、ライフサイクルコスト縮減の視点で費用対効果の高い省エネルギー技術を積極的に採用します。・・・」としている。 このように文章のみで表現するのではなく、建設コストと維持管理コストを合計したライフサイクルコストの削減を目に見える形で示すべきである。例えば、2013年11月に市が公表した「鳥取市庁舎整備全体構想(素案)」で示したように、横軸に将来の年度を、縦軸に累積のライフサイクルコストを取ったグラフとして提示すべきと考える。
【質問9】
今回の基礎設計案では、市民がライフサイクルコストの削減の全体像を容易に把握することは困難です。新庁舎の寿命が尽きるまでに必要となるコストの全体像を、目に見える形でお示しください。
(3−3)コンピューターシステム等、移転に伴う付帯費用の公開
新築移転に際しては、コンピューター、サーバーなどの業務システムを十億円以上の費用をかけて更新するとの話が漏れ聞こえて来る。新たな市民負担の発生となるので、早急にその必要性を説明し、内容と費用総額を公表すべきである。また、机、書類キャビネット等は、極力、現状のものを流用すべきであり、多額の費用をかけて新規に購入するようなことがあってはならない。
【質問10】
庁舎新築移転に伴って、業務システム全体を更新する予定があるのでしょうか。もしも更新を計画しているのであれば、その必要性、および概算費用を、早急に市民に対し公開してください。また、市民負担を極力減らすためにも、現在使用中の備品等は新庁舎においてもそのまま流用すべきと考えますが、市長の考えをお聞かせください。
(/質問状の概要は以上)
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7月末に小池百合子東京都知事が当選して以来、テレビも新聞も、築地卸売市場の豊洲への移転問題に関する報道で埋めつくされています。移転先の豊洲市場の建設費は、当初の990億円から3倍近い2752億円へと膨れ上がったそうです。建設費用の規模は一桁以上違うものの、何やら、鳥取市の新市庁舎建設費の五割増と似たような展開となってきています。
鳥取市の新庁舎移転問題が東京の卸売市場と異なる点は、東京では既に新市場の建物が完成している一方、鳥取では新庁舎は未だに設計段階にあると言うことです。
鳥取市の説明によれば、新市庁舎の設計が完了するのは来年の五月。完了後、直ちに入札を実施して来年の夏の間に建設業者を決定し、来年の九月市議会で建設予算案を承認する予定と思われます。その九月市議会でこの予算案が否決されれば、建設費だけでも約百億円に達するこの新市庁舎建設計画は廃案となります。一方、現在進行中の設計費用は総額でも約二億円。来年秋の時点の鳥取市議会の対応次第では、災害に会う危険性がより高い新庁舎への(投資費用)=(建設費用の約100億円)+(付帯費用)は使わずに済むのです。
七月の参院選で市内で獲得した記名投票数がわずか一万一千票にとどまり惨敗した竹内前市長が強引に推進してきた、この「庁舎新築移転という名の、税金をムダ使いしたいがためのバカ騒ぎ」を二度と起こさないための授業料としては、設計料の約二億円をムダにするだけで済むのです。
この新庁舎建設案は廃案とし、2012年の住民投票で圧倒的に支持された「現庁舎の耐震改修案」を実施すれば、この問題は一件落着するだけのことです。住民投票の後、竹内前市長と市議会与党は日本海新聞の記事を使って、土壌中のヒ素処理等の付帯費用も含めれば、耐震改修案の費用は住民投票時の争点であった建設費用のみの20.8億円ではなく、(建設費用)+(付帯費用)の総額で43.3億円に増大すると大いに宣伝し、市民に耐震改修案は実現困難とのイメージを植え付けました。彼らは、耐震改修案を検収した結果、「高すぎるから実施は不可能」になったと大合唱していました。(ちなみに、住民投票当時、前市長と市議会与党が支持していた新築移転案は、建設費用だけでも74.8億円。)
それがいつのまにやら、今では建設費用だけでも既に約100億円。今後、土壌処理費用や液状化対策費用、システム更新費用を加えたら、一体いくらまで膨らむのでしょうか?新築移転案は「高すぎるから実施は不可能」と、彼らは、いま、なぜ言わないのでしょうか?
東京都の築地市場移転問題は、小池知事の今後の意向次第ですが、既に建てた新市場建物は使わずに民間に転売、現在の築地市場を改修して継続使用するとの案も浮上しているとの事。これに比べたら、鳥取市の新庁舎新築案の全面撤回など、簡単に実現出来る内容です。
我が鳥取市の現在の深澤市長は、竹内前市長が不人気による自身の落選を避けるために、2014年春の市長選の直前になって直々に後継者に指名した当時の副市長。前市長が政治権力を喪失した現在でも、深澤市長は前市長に忠誠を尽くして、あくまでも新市庁舎建設に巨額費用を投じようとしているのでしょうか?その答えは、この質問状に対する深澤市長の回答でハッキリと判ることでしょう。
/以上
・「つなぐ会」提訴の「市庁舎新築に関する公金支出差止訴訟」の第四回公判を傍聴。(2016.3.23)
先日の3/11に「鳥取市の未来を次世代につなぐ会」(以下、「つなぐ会」)が提訴した「市庁舎建築に関する公金差止請求事件」の第四回公判が鳥取地裁で行われました。以下、内容を報告します。
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名称:「市庁舎建築に関する公金差止請求事件」
裁判長:大島雅弘 裁判官:力元慶雄、新井一太郎 場所:鳥取地裁 第32号法廷
原告代理人弁護士:杉山尊生、及び他一名 被告代理人弁護士:松本啓介、及び他一名
原告:石上晋一、及び他14名(全て鳥取市民)
(1)公判内容
3/1に被告の鳥取市長側から反論書面が提出されており、それに対する裁判長からの確認が主であった。
今月末に裁判官の定例人事異動が予定されており、この裁判は新しい裁判官に引き継がれることになる。このため、新しい裁判長のもとでの争点確認が必要となるため、次回は5/11 10:30から非公開(ラウンドテーブル)で実施することとなった。
(2)杉山弁護士からの経過説明
公判終了後、地裁のすぐ近くの県弁護士会館で、杉山弁護士による原告側支援者に対する経過説明を原告支援者側の約20名がうかがいました。
・被告側が提出した反論書の内容を要約すれば、「庁舎移転の位置条例が成立した以上、成立に至るまでの経過にいかなる虚偽やゴマカシがあったとしても条例は成立する」と主張していることに尽きる。あいかわらず、成立までの途中経過に踏み込むことを避けている。詳しい証拠まで踏み込んだら勝ち目がないと判断しているのだろう。
・結審の時期については、裁判長の交代もあるので何とも言えないが、夏から秋にかけての可能性が高いのではないか。
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被告側の反論書には、「選挙で選出された議員の表決に不満があるなら、次回の選挙で別の候補に投票すればよいだけの話」と書いてありました。それはそれで至極当然の話なのですが、次回の選挙までは待っていては、我々の税金が無駄に使われてしまうことになる。
この裁判の争点は、市側がゴマカシの説明をし続けて意図的に市議会を位置条例可決の方向に誘導したと言う点にあります。何しろ、昨年五月に市が「建設費は当初説明の五割増しになる」と発表した直後には、位置条例に賛成した議員からも市執行部に対する不信の声が次々にあがりました。「なぜ床面積が増えるのか市民にはわかりにくい」、「金額が増えたことに対するアレルギーが市民にはある」(2015.5.15 日本海新聞)等々。位置条例に賛成した議員でさえ、「深澤市長にダマされた」との思いが強いのです。裁判所には、この間の経過を客観的に判断していただきたいと思います。
被告側の弁護士は、我々が収めている税金から弁護報酬を得ています。対照的に、この裁判の原告の「つなぐ会」は会員や市民からのカンパだけでこの訴訟を闘っており、杉山弁護士をはじめとする支援弁護士団にもほぼボランティアで弁護を引き受けてもらっています。当「市民の会」のみならず、「つなぐ会」へのご支援も引き続きよろしくお願いします。
次回の第五回公判は、5/11(金)10:30からの予定です。次回は非公開ですが、同日の11:15から弁護士会館(鳥取地裁の右隣の建物)で杉山弁護士による状況説明が行われる予定です。状況説明まで参加された原告側支援者は、今回は約20名でした。次回も多数の市民のご参加をお願いいたします。
/以上
・新市庁舎設計業者の選定に関して、残っていた情報公開請求の内容が開示されました。(2016.2.1)
12/7に市に対して提出した情報公開請求二件の中で、未だ未回答であった設計代表企業各六社の提案内容が1/21に開示されました。以下、報告します。各案の内容は、次の行をクリックすると見ることが出来ます。
・各案のダウンロード(PDF) A案 B案 C案 D案 E案 F案
資料の内容量は膨大であり、その違いを比較しづらいため、簡単な比較表を下に示しました。庁舎の外観や使い勝手等については客観的な比較が難しいため、主に数量で把握できる内容に限定しています。なお、最高点を取って受注が決定した久米設計と次点の日本設計以外の業者名は公表されませんでした。
この内容をざっと眺めて見て言えることは、各社の提案内容には共通する点が多く、大きな差が少ないことです。以下、目についた点を拾い出してみました。
@ 建設コストに関しては、多くの案が当初案の床面積2.3万m2から大幅に削減することは可能としています。E,F案では、一割またはそれ以上減らせるとしています。11/23のプレゼンテーションを傍聴した市民の話では、「予定されている床面積は予定職員数に対して過大」とコメントする業者が多かったとのこと。当初案が一般常識的な床面積からはかけ離れており、建設費をムダにたくさん使うため故意に過大な床面積を想定していたことは明らかでしょう。
採用が決定したA案においても、将来の市人口減に伴う職員数減少が確実であることを考慮し、将来確実に発生する空きスペースを保健・福祉施設に転用可能な内容となっています。要するに、「中核市になるから保健所を駅南庁舎に持ってくることにした」と言う後付けの理由を考え出して、駅南庁舎に入れる予定だった職員を新庁舎に入れるためと称して新庁舎面積を当初の1.74万m2から2.3万m2に増やした根拠は、もとから薄弱であったということです。
このまま進めば、新庁舎が完成して数年もすれば、「減少し続ける市の人口数と職員数、貧弱な市財政力に見合わない、過剰に広くて意味不明な新庁舎」として、住民負担を増やし地方創生を妨げる絶対にマネしてはならない反面教師として、全国の各自治体の注目を集めることになるでしょう。
A 基礎・構造と免震については、各社とも共通点が多くなっています。目を引くのは、コンクリート充填鋼管(CFT)の柱を使用する案が多いことです。耐久性やコスト面で利点が多いというのが理由。従来はあまり使用されてこなかった新しい技術のようですが、メリットのある新工法はどんどん採用していただきたいと思います。
B 浸水対策に関しては、ほぼ全ての案で一階の床面を現状よりもかなり高くするとしています。ハザードマップに見るように、この新庁舎敷地の西側は洪水時には相当な深さの浸水が予想されています(このぺージ中の2015.9.24記事を参照のこと)。各社とも、この敷地が浸水の危険性の高い場所にあることを十分に認識していることが伺えます。このような水害の危険性が高い場所にわざわざ新庁舎を持ってくることを、日本全国で初めて住民投票結果をひっくり返すまでしてゴリ押しした前市長の見識が改めて問われます。
C 上の表の中では触れていませんが、6案中、実に5案までがこの敷地内で地震の際に液状化が発生することを想定しており、この場所が水害のみならず地震に対する危険性も高いことを示しています。この付近の地層は、袋川が氾濫を繰り返して堆積した砂と砂利が地下数十mまで続いており、大きな地震の際には液状化現象が起こりやすい地層であると言われています。
(新庁舎地質調査報告書)
D 上の表のコスト欄に見るように、一社を除き他の五社の案では、建設コスト、維持コスト、CO2排出量、共に大幅な削減が可能であるとしています。A案に受注決定しましたが、他社の提案中の優れた点も取り入れてさらなるコスト低減を実現するよう、市の担当部局がしっかりと細かな点をチェックされることを望みます。
なお、採点結果の中でB案は飛び抜けて評価が低かったが、この表を作ってみてその理由が判りました。要するに、具体的なコスト削減の数字を示さなかった(示せなかった?)ためでしょう。
さて、駅南庁舎に保健所を持ってくることを理由に新庁舎の予定床面積を2.3m万2まで膨らませた結果、想定建設費は約百億円にも達してしまいました。前市長、現市長、この新築移転計画に賛成してきた市議会の与党議員は、「建設費の大半は合併特例債という有利な制度を使って、国から地方交付税に含めて支給される。市民に新たな負担はかけない。」とずっと言い続けてきました。しかし、これは真っ赤なウソです!
合併特例債という名前で市が金融機関から借りた借金の返済分の七割は国が支給すると、国みずからが約束していました。しかし現実には、鳥取市が今まで借りた合併特例債の返済額(償還額)は毎年増え続けているのに、国からの地方交付税は三年前をピークとして毎年減り続けています。結局、合併特例債を使えば使うほど、今まで実施してきた事業の財源が消えていくだけの話です。新庁舎に百億円も使えば、その分、他の事業に回すカネが削られてしまうのです。
(国からの鳥取市への地方交付税(普通交付税)の交付額(当初予算)の推移)
現市長をはじめとする市幹部も、与党議員も、鳥取市の現実を見ないようにわざと眼をつぶり思考停止したままで、これまでの惰性で、前市長が敷いたレールの上を走り続けようとしているように見えます。あなた方の眼は市民の方を向いておらず、前市長の方ばかり見ているのではないでしょうか?自分自身で具体的な数字を確認しさえすれば、このままでは鳥取市の将来財政が悪くなる一方であることは、常識のある人間であれば直ちに理解できることでしょう。
私たち「市民の会」は、今後も彼らの行動を注意深く見守り、しっかりチェックして、その内容を市民の皆さんに幅広く伝えていきたいと思います。
/以上
・新市庁舎設計業者の選定に関する情報公開請求に対し、その一部が開示されました。(2015.12.28)
既に12/11付け記事で報告しましたが、当会は新市庁舎設計業者の選定過程の情報公開が不十分であると考え、市当局に対して12/7に以下の二件の開示請求書を提出していました。12/24にその一部が開示されましたのでご報告します。
(1)設計代表企業各六社の提案に対する、新庁舎建設専門委員会の各委員の採点結果の開示請求
(2)設計代表企業各六社の提案内容開示請求
開示されたのは(1)の各委員の採点結果です。(2)については「決定期間延長通知書」という文書が交付されました。これによると、公開について各社の意見を聞く必要があるため、情報公開条例の第14条第2項により決定までの期間をさらに30日間延長するとの事です。各社の提案内容の概要は、11/23のプレゼンテーションの際にすでに市民に対して公開されています。なぜ今になってから、各社の了解を取り付ける必要があるのか疑問に思います。
さて、回答のあった各委員の採点結果を右に示します。 「第二次審査各委員採点結果」
この資料の中で、A者〜F者は各社の技術提案、@〜Gは各採点者です。各案ごとに各採点者に与えられる配点は、満点で100点となっています。採点結果を見やすくするため、各採点者ごとの各案に対する評価をグラフ化して下に示します。
各案に対する採点は各採点者とも大体同じ傾向が見られ、B案は共通して低く、A,C,E案はおしなべて高くなっています。ただし五番目の採点者については、他の採点者と異なった傾向が見られます。上の表の一番下の段にA案とB案の点数差を示しましたが、他の五人はほぼ同じ採点かまたはA案の方を十数点は高く評価しているのに対し、五番目の採点者だけがE案にA案よりも16点も高い点を付けています。上のグラフでは、五番目の採点者の採点結果を赤線で示しています。
採点の最終集計結果でのA案とB案の差は14点でした。もう一人、五番目の採点者と同様な採点をした採点者がいたら、久米設計ではなく日本設計が受注していたことでしょう。先の記事では、従来、日本設計と密接な関係にあった市の幹部が二名も採点者に加わっていては、採点結果の中立性・公正性に疑問を持たざるを得ないことを指摘しました。この五番目の採点者は、いったい誰なのでしょうか?
先日の12/22に、この半年間おおもめにモメた新国立競技場の設計・建設業者がようやく決定、大成建設を主とするグループの提案したA案に決まりました。(ちなみにB案のグループには日本設計が参加。)この選考は七名からなる「技術提案等審査委員会」が行ないましたが、七名のメンバーすべてが大学教授等の学識経験者でした。「鳥取市長が選ぶ委員会のメンバーは、みな市の方針を追認するだけであり、中立・公平な立場からはほど遠い」などと今後は指摘されることのないように、今回の国の姿勢に学ぶべきです。行政側の幹部が採点者の中に含まれているようでは、公平性が疑われるのは当然でしょう。
ともあれ、今回、市が開示請求に対応して一件を情報公開したことは、一定程度は評価してよいのではないかと思います。現在の情報公開条例自体が行政側に大幅な裁量権を与えている内容であり、行政側の解釈しだいで請求を却下することも簡単に出来るからです。
新国立競技場の選考過程では、決定前から両案の内容を公開、決定後は参加企業名も公表しました。鳥取市もこれにならい、残ったもう一件の開示請求に対しても速やかに情報公開されることを望みます。
/以上
・「つなぐ会」提訴の「市庁舎新築に関する公金支出差止訴訟」の第三回公判を傍聴。(2015.12.25)
本日12/25に「鳥取市の未来を次世代につなぐ会」(以下、「つなぐ会」)が提訴した「市庁舎建築に関する公金差止請求事件」の第三回公判が鳥取地裁で行われました。傍聴した内容を報告します。
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名称:「市庁舎建築に関する公金差止請求事件」
裁判長:大島雅弘 裁判官:力元慶雄、山崎岳志 場所:鳥取地裁 第32号法廷
原告代理人弁護士:杉山尊生、及び他二名 被告代理人弁護士:松本啓介、及び他一名
原告:石上晋一、及び他14名(全て鳥取市民)
(1)公判内容
公判自体は約15分程度で終了。以下、法廷でのやり取りの概要。
「裁判長:原告は12/11と12/21に、合計で準備書面4通と証拠10件を提出しています。被告はどう対応しますか。
被告代理人:議論が食い違っているような気がしますが、あらためて反論する予定です。
裁判長:原告の主張としては、位置条例の制定過程における市長の議案提出方法と市議会の審議内容に違法性があるから、結果として条例も違法との内容ですね。条例は地方議会の民主的決定の産物であるので、その制定過程がいかに民主的にダメであるかどうかが問題となるとの事ですね。
原告代理人:そうです。
裁判長:例えば、(最近の)安保法制などは人によってはダメな法律というけれども、一応は所定の手続きを経ているわけですね。あれがダメであると言うためには、内容や制定手続きが憲法に違反することを立証しなければなりませんね。この条例の場合には、出来るまでの過程が非常に民主的ではなかったという立証が必要ですね。
原告代理人:この条例の中身そのものは市庁舎の位置を決めるだけであり憲法には抵触しないが、それを決める過程が地方自治の本分に抵触する、憲法の精神に反するということです。
裁判長:条例制定の過程ではべらぼうな金額になることは想定していなかったが、制定してフタを開けてみたら費用が膨大に膨らんだ。条例審議の過程で適切な情報を与えていないということですね。
被告から反論をいただいて、それを見て決めることになります。被告はいつまでに反論できますか。
被告代理人:(次回公判を)三月に設定していただければそれまでに準備します。
裁判長:次回は3/11(金)の10:30からの口頭弁論とします。被告はその一週間前までに反論を提出してください。」
(/公判終了)
(2)杉山弁護士からの経過説明
公判終了後、地裁のすぐ近くの県弁護士会館で原告側支援者に対する経過説明をうかがいました。
「杉山弁護士:
最近提出した準備書面に関する説明をします。(資料が配布されたが、その詳細内容は省略)
書面3:条例制定の手続きが民主的でなく違法性があることを指摘。市長と議会の権限は無制限ではなく、民主的ルールによる権限に対する制限がある。この位置条例はその裁量範囲を逸脱している。現在、原告と被告の間でこの逸脱の基準が異なっている。
書面4:条例可決後に建設費用が高騰した問題を指摘。中核市への移行予定はずっと以前の竹内前市長の時代から表明していた。当然、保健所をどこにするかについては以前から予定していたはず。位置条例が可決されてから初めて、保健所を駅南庁舎に持ってくることを明らかにして、建設費用を膨らませた。また資材高騰については、計画段階で当然組み込んでおくべきだった。
書面5:鳥取市の住民投票条例には、市長には住民投票結果の尊重義務が明記されている。市長がその尊重義務をひっくり返すだけの特段の理由は発生してない。
書面6:位置条例制定の前に新築移転の内容に関する検討を十分に行なったのか?最初から市立病院跡地への移転を決めていた、「先に結論ありき」だったのではないか。
地方自治法では、位置条例の成立のためには議会の三分の二以上の賛成が必要であるとしています。戦前は、市役所の位置は市側の一存で勝手に決めることが出来ました。新憲法となり民主主義を国の根幹となったので、この位置条例が出来たのです。市役所の位置は住民の利便性に直結するので、本来は住民投票で決めるべきという考えもありましたが、手続きが煩雑となるために議会に決定を代行させた。位置条例成立には三分の二以上を必要としているのは、この考え方を反映しているものなのです。
鳥取市での例のように、「住民投票で市役所移転が否決されたので、議会でゴリ押しして位置条例をムリヤリ成立させた」というのは、話がまったくサカサマです。現憲法の根幹である民主主義の精神に全く逆行するものです。
今まで、被告側はまともな反論をしていません。次回で今後の方向が決まると思います。」
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先回の記事でも書きましたが、この裁判の原告の「つなぐ会」は会員や市民からのカンパだけでこの訴訟を闘っており、杉山弁護士をはじめとする支援弁護士団にもほぼボランティアで弁護を引き受けてもらっています。当「市民の会」のみならず、「つなぐ会」へのご支援も引き続きよろしくお願いします。
次回の公判は、3/11(金)10:30からの予定です。今回は、原告支援者側だけでも三十名近い市民が傍聴されました。次回公判では、さらに多数の市民の傍聴をお願いいたします。
/以上
・新市庁舎設計業者の選定過程を明らかにするため、情報公開の開示請求書を提出しました。(2015.12.11)
新庁舎の設計業者が選定され、12/9に市と設計業者の間で契約が結ばれましたが、下の11/30付け記事で指摘したようにその選定経過は非常に不透明です。この点を明らかにするために、我々「市民の会」は国の法律と市条例に定められた情報公開制度を活用し、12/7に情報公開の請求書を市総務部総務課の情報公開係宛てに提出しました。以下にその内容を示します。これらは下の記事で既に指摘していた「選考過程における問題点」の中の(2)と(4)に対応するものです。
・「市民の会」が今回提出した開示請求書二通の内容
(1)設計代表企業各六社の提案に対する、新庁舎建設専門委員会の各委員の採点結果の開示請求
(2)設計代表企業各六社の提案内容開示請求
実際に提出した開示請求書は、上の各項の青文字部分をクリックすると読むことが出来ます。
市政に関する情報を知りたい場合には、市の情報公開条例を利用するのが便利。開示請求書の書式は市の公式サイトから入手出来ます。市政について不明な点があれば、どんどん開示請求しましょう!
情報公開の請求があった場合、市の担当部署は15日以内に開示・不開示の決定をしなければなりません。今回の請求の場合は12/22が期限となります。その結果については、再度この場でお知らせします。
なお今回、市の情報公開条例を詳しく読んだところ、とんでもない内容が含まれていることを発見しました。この条例の第七条には、行政側が開示請求を拒否できる場合があげられています。その中に行政側の判断でいかようにも拒否できる項目が数多く含まれているのです。以下、抜粋します。(太字での表示は筆者によるもの)
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第7条 実施機関は、開示請求があった場合は、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されているときを除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。
・・・・・・・・
(3) 法人その他の団体(国、他の地方公共団体その他これらに準ずる団体(以下「国等」という。)を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
ア 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
イ 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
・・・・・・・・
(6) 実施機関が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
ア 監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、市の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ウ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
エ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
オ 市が経営する企業に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ
(7) 市の機関内部若しくは市の機関相互又は市の機関と国等との間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
(8) 実施機関(市長、水道事業管理者及び病院事業管理者を除く。)並びに議会の委員会、市の執行機関の附属機関及びこれらに類するもの(以下「合議制機関等」という。)の会議に係る審議資料、議決事項、会議録等に記録されている情報であって、当該合議制機関等の設置目的に照らして、公にすることにより当該合議制機関等の公正かつ円滑な議事運営が著しく損なわれると認められるもの
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要するに、行政側が出したくない情報は、「中立性」「公正」「不当」「混乱」などの理由を付けて、いかようにでも公開を拒否できるのです。「不当」かどうかの判断をするのは行政機関自身です。いったい誰が、こんな条例を作ったのでしょうか?
今回の開示請求がすんなりと通るとは思えませんが、市側がどんな理由を付けて拒否してくるのか、大いに注目したいと思います。
/以上
・新市庁舎の基本・実施設計業者は決定したが、例によってその選定過程は不透明。(2015.11.30)
先週の11/23に新市庁舎の代表企業六社による設計案のプレゼンテーションが実施され、翌11/24に設計業者が決定。その選考過程と決定内容の報告が11/25の新庁舎建設調査特別委で行なわれました。この特別委を傍聴したので報告します。
なお、選定の経過と決定内容の詳細は市の公式サイトから引用しました。採用決定した久米設計の技術提案の内容もこのサイトの中に含まれています。
@ 「設計者選定の流れ」
@−1 応募業者の受付
鳥取市は、旧市立病院跡地での新市庁舎建設の基本設計・実施設計の業者選定にあたり、以下の業務内容で応募業者の受付を行った。合わせて市内業者の応募も開始した。代表企業応募者の技術提案書受付期限は今年の11/17。
予定する業務内容は以下の通り。
・業務内容
鳥取市役所新本庁舎建設とそれに付帯する駐車場、外構等の基本設計及び実施設計
・履行期間
契約締結日(H27年12月中旬を予定)の翌日から平成29年7月31日まで(約20カ月)
※ただし、基本設計業務の完了期限は、平成28年7月29日まで
・業務規模
延べ床面積 23,000u以内
@−2 応募業者の評価・選定
11/23に代表企業各社のプレゼンテーションを実施。その内容を新庁舎建設委員会が審査し採点、11/27までに最高点をとった企業を最優秀者(優先交渉権者)として選定する。合わせて市内業者の選定も行う。新庁舎建設委員会のメンバーは以下の通り。
プレゼンの結果、次の業者が選ばれた。なお、代表企業には六社が応募、市内企業は五社が応募した。
代表企業を選定する際には、建設委員会の八名の委員が採点を行い、その合計点が最高となった企業を最優秀者とした。下がその採点結果であり、最優秀者の久米設計はA、次点の日本設計はEである。
@−3 共同企業体の結成
応募した代表企業の中から選ばれた最優秀者(優先交渉権者)と市内企業優秀者は協議を行い、今年の12月中旬までに共同企業体を結成するものとする。本件の予算額は約2億4千万円となる。
A 「選定過程における問題点」
この選定過程のなかで問題と思われる点を以下に挙げます。
(1)建設委員会の委員の構成に疑問
八名の委員の中に市の幹部(副市長と都市整備部長)二名が含まれています。本来、このような委員会の委員は特定の企業と強い関係を持たない、中立性・透明性がともに高い人物から構成されるべきです。この庁舎問題では、鳥取市の執行部が従来から特定の設計業者(日本設計)と親密な関係にあったことは鳥取市民には周知の事実。案の定、今回のプレゼンにもその日本設計が応募しており、その評価は次点とはなったものの、今後、何かの理由で久米設計が辞退すれば代わって設計者となる地位が確保されました。
なぜ、市の幹部二名を選定委員の中に入れて採点者としたのでしょうか?
(2)委員別に採点の詳細を公表すべき
上の採点結果では、各項目別に八名の委員の個別の採点の合計点しか表示されていません。仮に、特定の委員が特定の企業に飛び抜けて高い点を付けていたとしても、この表現ではその事実は把握できません。委員の名前はA氏、B氏等と匿名としてもよいが、少なくとも個別の採点者ごとの点数を表示すべきです。以前の片原駐車場の建設の際には、そのような内容の採点結果が公表されたそうです。なぜ今回は同じやり方で公表しないのでしょうか?
なお、市の幹部二名に関しては、上に述べた理由により、その採点結果は実名とともに公表すべきです。
(3)採点時に委員は、A案、B案、・・がどの企業のものであるかを本当に知らなかったのか?
今回の選定では、11/23に市民に公開の形でプレゼンが行なわれ、その際には各個別企業と各案の対応関係は全く非公表とされていました。仮に、市民に非公表であったこれらの情報が建設委員には公開されていたとしたら、このプレゼンは市民に対する単なる詐欺行為となります。庁舎整備局は、これらの情報が全ての建設委員に対しても市民に対してと同じく非公表であったことを保証する資料を示すべきです。この点でも、応募者の詳しい情報を知ることのできる立場にある市の幹部二名が採点者として加わっていることに、不信感がつのります。
(4)なぜ、全ての応募企業の案を公表しないのか?
現時点で公表されている設計案は、最優秀となった久米設計のものだけです。筆者は11/23のプレゼンは傍聴しなかったが、当日参加した市民の話では、各案に関する資料は一切配布されなかったとの事。各社がプロジェクターで自社の案を発表するだけであり、写真撮影も録音も禁止されたとのことです。これでは市民には、A案のどこが良くて各委員に評価されたのか何もわかりません。市民に適切な情報を与えず、自分たちだけで物事を決めようとする鳥取市の姿勢が、こんなところにもはっきりと現われています。市は今年の始めから「新市庁舎には市民の意見をしっかり反映させる」として何度も市民参加の会合を開きましたが、あれは単なるマスコミ向けのポーズ、見せかけだけだったようです。
なお全く不十分ではありますが、プレゼン当日の参加者のメモから各社の案の内容の一部を再構成してみました。下の表に示します。
なお、11/25の特別委の開催前に、上に説明したように、この件に対する市の提供情報があまりにも少ない事に対して苦情を申し立てた「市民の会」会員のO氏に対して、亀屋愛樹庁舎整備局長は、「わからん市民が判断しても、しょうがない!」との暴言を吐いたとのこと。この発言は、「市民は税金さえ納めていればいい。その使い道は俺たちが決める。」と言っているのと同じ意味だと思います。
B「今後の「市民の会」の取り組みについて」
11/23のプレゼンを傍聴した方の話によると、代表企業に応募したほとんどの企業が「市の予定している23,000m2の床面積は約900名の職員数に対して広すぎる」と話していたそうです。市がなるべくたくさんの建設費を使おうとして、業界の常識から外れた計画を立てていたことがよく判ります。今回選定された久米設計の案では、面積の見直し等により「建設コストを8%以上削減する」としています。
当「市民の会」は、「鳥取の未来を次世代につなぐ会」が現在進めている新庁舎建設関連費用の支出差止訴訟の結果にもよりますが、仮にこのまま新市庁舎が建設されることになったとしても、市がいままで進めてきた庁舎整備計画に疑問を持っている市会議員の皆さんと協力して、極力ムダな費用を使わせないように市政の内容を監視していきたいと思います。また、上に示したように、鳥取市の情報公開は極めて不十分です。引き続き市政全般の情報公開を要求していきますが、まずはこの設計業者選定過程の詳しい内容の公開を求めていく予定です。今後の進行状況については、このサイトで改めてお知らせいたします。
/以上
・富山県氷見市は、廃校となった高校の体育館を改修し市庁舎に!それに比べて我が鳥取市は・・・。
(2015.11.22)
鳥取市は現市庁舎の耐震改修を支持した住民投票結果をひっくり返し、建設費だけでも約100億円もかけて市庁舎の新築移転を実施しようとしています。このような我が街とは対極にある街を見つけたのでご紹介します。富山県の氷見市です。
人口約5万人の氷見市でも、昭和40年代に建てた市庁舎の耐震性に問題があることが判明しその対策を迫られていました。そこで氷見市が選択したのは、廃校となり遊休施設となっていた県立高校の体育館を市役所として活用しようという妙案です。
耐震性に問題があることが判明したのは2011年、そのわずか三年後の2014年には改修を完了した元体育館に市庁舎が移転しています。当時の市長が決断することによって、こんなにも早く、かつ市民負担を最小限に抑えながら耐震性を高めた市庁舎が実現できたのです。
廃校となった高校の体育館を改修した氷見市新市庁舎の内部
氷見市と我が鳥取市の市庁舎整備計画の経過の比較を下の表に示します。
なお、上に示した氷見市の取り組みと経過、現状については、次のサイトを参考とさせていただきました。
・「市庁舎の移転と庁舎活用におけるFMの実践」
FMとは「ファシリティ マネジメント」の略で、その定義は「全ての設備を対象として、最適な状態で運営・維持するための総合的な管理手法」とのこと。このサイトはFM活動を推進している日本ファシリティマネジメント協会によるものです。
・「市庁舎建設で住民の結束力を高めた富山県氷見市」
このサイトは地方財政の専門家による記事。現市長が住民と一緒になって市庁舎を作っていった様子が紹介されています。
・「富山県氷見市 旅の醍醐味はハプニング…にしても、はちゃめちゃなハプニングに見舞われた日本初・体育館リノベーション市庁舎視察」
地方自治に強い関心を持つ退職銀行員のブログ。我々一般市民の目線で氷見市を見ています。現市長も登場!
・「高校体育館を庁舎にした氷見市はすごい」
「対話を重視してリノベーションした氷見市新市庁舎」
氷見市を訪問・視察した気仙沼市と横浜市の議員の報告。どうやら、現在の氷見市には全国各地の自治体からの視察が殺到しているようです。我が鳥取市も、「マイナスの、自治体はこうあってはならないという反面教師としての視察対象」として全国の人気を集めるのでしょうか?
このまま行けば、鳥取市の市庁舎新築費用は庁舎の建設費だけでも市民一人当たり約5.1万円、五人家族では世帯当たり約25万円を負担することになります。竹内前市長、深澤現市長、与党の会派新生と公明党などの市会議員は、「建設費用の約七割は合併特例債という有利な制度を活用するので、国が地方交付税に含めて支給してくれる」とことあるごとに説明していますが、合併特例債残額が毎年増え続けているのに、市に交付される地方交付税は二年前をピークに減少に転じている現状を彼らはどう説明するのでしょうか?結局、市庁舎新築にカネをかけた分だけ、今まで市民サービスとして実施してきた事業が継続できなくなることは明らかです。
上の比較表を作成していて実感したのは、市長がどのような人物であるかによって自治体の行政内容が極端に違ってくると言うことです。氷見市の前市長の堂故氏、現市長の本川氏はいずれも保守系の政治家です。ちなみに、堂故氏は自民党所属の現職の参議院議員。
鳥取市の市庁舎問題の大混乱の責任、市民の負担を軽くする方法は他にいくらでもあったのに故意に建設費を増大させる方向に市政の流れを誘導した責任の大半が竹内功前市長にあることは、この間の経緯を詳しく調べれば誰が見ても明白でしょう。国のカネを無駄に使うことによって(最終的にはそのツケは市民に回って来るのですが・・)自分の権力をより強くすることだけを考えている人物と、市民負担をなるべく減らし市民の合意のもとに行政を実施しようとしている人物とが同じ政党に属しているのです。どちらが、いわゆる「地方創生」の方針に合致しているかは明らかでしょう。
何の工夫もせずに国からできるだけ多くのカネを引き出しすことしか考えていない今の鳥取市の姿勢は、自ら自立する能力を投げ捨てて自分の力をますます弱めているだけです。その人物の本質を見ないで、単に所属政党だけで政治家を選んではいけないことがよく判ります
/以上
・「つなぐ会」提訴の「市庁舎新築に関する公金支出差止訴訟」の第二回公判を傍聴しました。(2015.11.08)
11/6に「鳥取市の未来を次世代につなぐ会」(以下、「つなぐ会」)が提訴した「市庁舎建築に関する公金差止請求事件」の第二回公判が鳥取地裁で行われ、傍聴して来ました。
なお、当「市民の会」は九月に「つなぐ会」と幹事間で意見交換を行い、双方とも目的とするところは「鳥取市政の透明化」であり同一であることを確認しました。それ以来、同会の活動については「市民の会」としてもできるだけご協力する方向としております。先日10/23の藤田先生の講演会では、当会より「つなぐ会」の石上事務局長に講演の後での参加者へのアピールをお願いしました。また、その場での同会へのカンパについても参加者の皆様にお願いしました。当日ご協力いただいた皆様には、深く感謝申し上げます。同会の活動内容については、今後もこのサイトで適宜、報告していきたいと思います。
さて、第二回公判の傍聴結果を以下に示します。
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名称:「市庁舎建築に関する公金差止請求事件」
裁判長:大島雅弘 裁判官:力元慶雄、山崎岳志 場所:鳥取地裁 第32号法廷
原告代理人弁護士:杉山尊生、及び他二名 被告代理人弁護士:松本啓介、及び他一名
原告:石上晋一、及び他14名(全て鳥取市民)
(1)公判内容
公判自体は約10分強で終了。筆者は今まで裁判傍聴の経験はなかったのですが、当初の予想に反し、法廷で双方が詳細な議論を戦わせるということはなく、事前に交換した双方の答弁書の内容を確認するというやり取りが主でした。傍聴者は答弁書の内容を事前に全く知らされていないので、いったい何が争点になっているのかを理解するのが大変でした。耳慣れない法律用語も多く、聞き取れてメモできた内容のみを以下に示します。
「裁判長:(昨年12月の位置条例採決という)市議会の議決で庁舎移転が可能となった後で、当初よりも多額の費用が必要であることが明らかになった。フタを開けてみたら(当初の約1.5倍の)90数億の建設費がかかることとなった。この点について被告はどう考えるか?
被告代理人:原告は市側の当初の見積もりに誤認があったと指摘しているが、この金額について原告は「ナーバス的」になっていると思う。この差額は資材が高騰したことと、鳥取市が中核市になることで保健所が県から市に移管されることが影響している。今ある駅南庁舎を使う事で、保健所を新築するよりも費用を減らすことができる。
裁判長:本件の問題は、議決の前提となる事実が市議会に与えられていないままに議決がなされたことが問題だとしているのですね?
原告代理人:その通りです。与えられていないと言うか、事実が不正確。
裁判長:事実が与えられていないことが、議会の裁量権の濫用を招いたとの主張でよろしいですね。
原告代理人:そうです。
被告代理人:議会の裁量権の濫用の基準をどこに置くかが問題となる。
裁判長:いずれにしても、もう少し双方の議論の応酬が必要な事案と思います。いったん原告側から必要な反論書面を出していただきたい。年内にもう一回公判を設けるということで、次回は12/25(金)の10:30からとします。」
(/公判終了)
(2)杉山弁護士からの経過説明
公判終了後、原告支援者に対する経過説明があるとのことで、地裁のすぐ近くの県弁護士会館にお邪魔してその説明をうかがいました。この説明によって、現在の状況をやっと理解することが出来ました。
「杉山弁護士:
第一回の8/14の公判から今日までに、こちらからは書面を二回提出しています。被告側からも、それに対する反論の書面が今回の公判の直前に出て来たものも含めて二回出ています。通常は公判の間に提出される書面は双方が一回ずつなので、その意味では非常に早い裁判進行であると言ってよい。
議論の内容については、こちらと被告側ではどうも議論がかみ合っていません。こちらからは鳥取市が議会の裁量権限を乱用していることを指摘しています。その理由として(市が議会に与えた情報における)事実の誤認、調査不十分等、個々の問題を指摘しています。それに対する被告側の反論というのは、こちらが住民投票を市がくつがえしたことの合理的な理由がないなどの問題を個別に指摘しているのに対して、向こうの反論は個別の問題指摘にはほとんど触れていない。
向うが言っているのは要するに、市の進め方にどのような問題があろうが、いったん議会が議決した以上は裁量権の濫用には当たらないとの主張だけです。先方は、最初からその主張を根拠として、この裁判をこれ以上続ける必要はないと言っています。先方の主張を認めるならば、「どのように誤った情報に基づいた議決であっても、いったん議会が議決した以上はそれが正しい」ということになってしまいます。」
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・傍聴しての感想
公判そのものを傍聴しただけでは、裁判の現状がよく呑み込めませんでしたが、後で杉山弁護士の説明を聞く事で状況がよく判りました。要するに、被告側の弁護士は、「いったん議会が議決した以上は、市が議会と市民に提供した情報がいくら間違っている事が後でわかったとしても、それに文句をつけてはいけない」と言っているにすぎないのですね。市が市庁舎位置条例の議決前に市民に提供した情報が「市民に新たな負担をお願いすることはありません」という市の広報等、後で自ら訂正するべき内容ばかりであることは、すでに市民の皆さんもよくご存知のはずです。このような行為は、市民常識から見れば「契約における背信行為」に当たります。今後、鳥取地方裁判所が普通の市民の常識に沿った司法判断を下されることを、強く期待したいと思います。
ところで、今回の公判の被告側(深澤鳥取市長側)の代理弁護人二名は、タダで市長の弁護を引き受けている訳ではありません。当然ながら、市は我々の納める税金の一部を支払うことで、彼ら二名の弁護士を雇っているのです。その費用は着手金だけでも54万円であり、今後さらに膨らむことは確実です。この弁護士費用に関する補正予算案は9月の定例市議会ですでに承認済み。「庁舎新築に余計なカネを使って市民負担を大幅に増加させるという身勝手な政策を守るために、市が市民からの税金をさらに使って自分たちを守るために弁護士を雇っている」仕組みを思い浮かべると、ジワジワと腹が立ってきて仕方がない!
一方、既に以前の記事で説明したように、この裁判の原告の「つなぐ会」は会員や市民からのカンパだけでこの訴訟を闘っており、杉山弁護士をはじめとする支援弁護士団にもほぼボランティアで弁護を引き受けてもらっています。市民の皆さまには、当「市民の会」のみならず、「つなぐ会」へのご支援も引き続きよろしくお願いしたいと思います。
次回の公判は、12/25(金)10:30からの予定です。今回は原告支援者側だけでも十数名の市民が傍聴されましたが、次回公判では、さらに多数の市民の傍聴をお願いいたします。
/以上
・9月市議会で可決された「鳥取市の中核市移行の推進に関する決議」を批判する。(2015.11.07)
九月定例市議会で市議会与党提案による「鳥取市の中核市以降の推進に関する決議」が可決されました。その内容について調べてみましたので報告します。この決議の全文は次の市の公式サイトで読むことが出来ます。
「可決された意見書・決議(鳥取市市議会)」
念のため、以下に全文を掲載します。体裁としては、市議会が市長に要望した形となっています。一読して強い違和感を感じる所に、アンダーラインを引いて番号を付けてみました。
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「鳥取市の中核市移行の推進に関する決議」
全国で人口減少や地方の衰退が進む中、地方の創生と持続的な行政サービスの提供が課題になっている。本市は、市民に身近な自治体として自立性を高めながら、市民のニーズに対応した質の高いサービスを提供する(@)とともに、地方の個性と活力を生かしたまちづくりに努めてきたところである。
国は、中核市を中心とする地方圏域を「連携中枢都市圏」として、地方経済の牽引や都市機能の高度化等に向けた財政支援等を強化することとしており、本市は、今後さらに、近隣自治体と強く連携しながら、山陰東部圏域の一体的な発展に向けて大きな役割を果たしていかなければならない(A)。本市は、昨年6月、市長が平成 30 年4月1日の中核市移行の方針を表明し、取り組みを進めているところであるが、執行部と議会が一丸となって、市民にしっかり説明責任を果たしながら(B)、移行の取り組みを着実に推進していく必要がある。
本議会は、下記事項に十分留意し、本市が中核市となり、山陰東部圏域の拠点として、市民サービスの向上と圏域全体の発展に積極的な役割を果たしていくことを強く要望するものである。
記
1 平成 30 年4月1日の中核市移行に向けて着実に取り組みを推進すること。
2 中核市移行に当たっては、市民への周知とともに市民サービスの向上に向け円滑な移行に努めること。
3 県との事務事業調整に当たっては、事業に必要な職員数と財源を見極め、適切な職員配置と財政運営に努める(C)こと。
4 保健所の設置に当たっては、既存施設を活用する等事業費の抑制に努めながら、市民の健康増進等の機能を十分発揮できるよう体制の充実強化を図る(D)こと。
5 近隣自治体と連携を密にし、将来の「連携中枢都市圏」を見据えた取り組みを推進すること。
6 中核市移行の取り組みの推進について、市民と情報共有し理解が得られるよう十分な広報と情報公開に努めること。
以上、決議する。 平成27年9月24日 鳥取市議会
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以下、番号順に解説。
@:住民投票結果を無視した日本で唯一の自治体の市議会が「市民に身近な自治体」を自称するとは、聞いている方が恥ずかしくなる。また、「自立性を高め」ているどころか、このサイトの2015.7.9付け記事のC「中核市への移行に、はたしてメリットはあるのか?」ですでに説明したように、鳥取市は現時点においてさえ、他の同規模の都市に比べれば自主財源がはなはだ乏しく、国からの財源に頼る以外にない貧しい都市なのである。中核市となって保健所運営費用をさらに負担することになれば、全国約80の中核市・特例市の中で一人当たりの地方交付税支給額部門で第一位となる可能性が非常に高い。中核市となることで、今よりもさらに財政の自立性を失うことは確実と言ってよい。
ここの文章は鳥取市の現状に即して、次のように書き直すべきであろう。
「本市は、市民の声を無視する自治体として日本全国においてすでに有名であり、さらに国への財政依存をますます強め、時の首長のニーズを最優先して市民へのサービスを軽視する内容の政策を提供する」
A:「近隣自治体と強く連携」とあるが、はたして近隣自治体は鳥取市との連携を本当に求めているのだろうか?
近年、智頭町は「森の幼稚園」などのユニークな町おこしで全国的に名前が知られるようになってきたが、この町の視線は山陽や関西方面、さらに全国へと向けられていて、鳥取市の動向などすでに眼中にないように見える。鳥取市から独立していることで、それぞれの地域の実情に対応した自由で柔軟な政策が取れることを、智頭町が実証している。
藤田先生の講演資料の8ページ目には市自身が調査した11年前の大合併の市民による評価結果が載っているが、合併された旧町村部では合併がマイナスの効果をもたらしたという声が圧倒的である。これらの地域では「鳥取市などと一緒にならなければ良かった」と大半の住民が後悔しているものと推測される。今後、中山間地へのサービスを切り捨てて鳥取駅前周辺のみに投資を集中させようとする現在の鳥取市の政策によって、旧町村部の住民の肩にも新庁舎の建設費などの負担がさらに重くのしかかることになる。
B:深澤現市長は市長選の際に、「市庁舎問題については市民にていねいに説明する」と公約して当選した。しかし、当選以来一年半が過ぎたが、彼が市民との公開の場に現われてこれらの問題を説明したことは一度もない。部下が書いた原稿を市議会で棒読みするか、市報に一方的な記事を載せるだけであり、それで「説明責任は果たした」ものとしている。本当に市民に対する説明責任を果たしていると言うならば、市民に直接向かい合う場を自ら設定し、市庁舎新築建設費とそれに関連する周辺整備費、さらに中核市移行に伴う費用負担によって今後市民の負担がどれだけ増えるのかを、明確な数字を挙げて詳しく説明するべきである。具体的な数字を欠いた美辞麗句や、きれいごとを並べるだけのこれまでの説明では、全く説明の名に値しない。
C:中核市へ移行した場合に問題となるのが保健所関連の専門職員と財源の確保にあることは、すでに10/23に開催された藤田先生の講演会で詳しく解説されている。特に自主財源が元々貧弱な鳥取市における保健所運営の財源は、今後も削減が続くことが明らかな国からの地方交付税の増額を期待する以外に無いことは、少し調べてみれば市政の素人でも十分に理解できる。
まして、我々の納めた税金から議員報酬として年間約800万円を受け取っている、政治のプロフェッショナルであるはずの鳥取市会議員諸氏は、鳥取市の新たな財源は国にすがる以外に生み出しようがないことなどよく御存じのはず。高給を得ていることと引き換えとなる市会議員としての主な義務は、年間約90日間だけ開催される市議会に出席すること(副業OK)なのだから、市の財政の厳しい現状について勉強する時間はいくらでもあるはずだ。
その市議会議員全32名中、22名の議員が賛成して成立したのが上に示す決議である。「財源を見極め、適切な・・財政運営に努めること」、と自らは具体的な提案を放棄して市長にゲタを預けた形になっているが、こんな決議をすれば自主財源の余裕の無い市がますます国への依存を強める結果となることは明らかである。国が「無い袖は振れない」とばかりに、今後も地方交付税を減らしていった場合、今まで地方交付税に依存して実施してきた他の事業が実施できなくなることは火を見るよりも明らかであるが、その場合にこの22名の議員諸氏は責任を感じないのだろうか?余計な事業を引き受ければ、その分、今まで市民のために実施して来た事業の財源が失われることになる。
この点では、この決議に賛成した22名の議員が、中核市移行に伴う財源問題を市長に丸投げしただけでは済まないのは当然のことである。中核市推進を公式の場で表明した彼らには、既存の市民サービスを損なうことなく中核市移行に伴う保健所業務の財源をねん出できることを、市民に対して立証する責任がある。
防疫拠点の中枢である保健所は、地域にとって必要不可欠な存在には違いないものの、地方行政機関の中では決して目立つ存在ではない。マスコミに毎日のように話題を提供して常に県政に注目を集めようと努力し、短期的な成果(のように見えるもの?)をすばやくアピールして支持を得ようとする傾向が顕著な現在の鳥取県政においては、「伝染病は発生しなくて当たり前で、いったん伝染病が発生したらマスコミからその責任を徹底的に叩かれる」保健所の存在は、できれば自分の手元から手ばなして置きたい行政部門の筆頭であろう。
「(新築市庁舎の床面積を増やして建設費が増える口実としたいので、)保健所を市にゆずってください」と言って来た鳥取市は、来たるべき地方交付税の激減に備えてあの手この手で費用削減に励んでいる県から見れば、「自分からすすんで鍋に入って来た、ネギを背負ったカモ」のような存在ではなかろうか?
D:この決議文を読んでいて一番あきれたのはこの部分!「既存施設を活用する等事業費の抑制に努めながら・・」の既存施設とは駅南庁舎のことを指しているらしい。「駅南庁舎に保健所を持ってくれば保健所を新築する必要は無くなり、事業費が削減できますよ」と執行部案を後押ししているつもりのようである。その影響で、「新庁舎の面積が増えて新庁舎建設費が当初見込みの1.5倍になりましたが、それはまた別の話」と片付けてしまうつもりなのか。小学生の子供の言い訳を聞いているような気分になる。
本当に既存施設を活用するつもりならば、市内江津の県立中央病院の敷地内にある現在の保健所(東部福祉事務所)をそのまま使い続ければよい。市の計画では中核市移行は平成30年4月、新庁舎の完成は平成31年度末の予定である。駅南庁舎の機能を新庁舎に持って行かない限り保健所は駅南に引っ越せない。新庁舎完成までの約二年間、保健所は今の場所に引き続き居るしかないのだから、さらに延長してそのまま建物の寿命が来るまで使い倒せばよいだけの話だ。これこそが究極の既存施設活用である。
ところで、「中央病院は現在建替え中であり、東部福祉事務所はそれに伴って解体されるから使えなくなる」との話が今年の春過ぎになって急に出て来た。去年の六月に公表された県の建替整備基本計画では東部福祉事務所はそのまま残されることになっていた。
竹内前鳥取市長は、従来から鳥取市の特例市から中核市への移行を非常に熱望しており、自ら特例市の会長に就任して国に対する働きかけを行ってきた。昨年の2月の定例市議会での一般質問に対する回答の中で、当時の竹内市長は「・・・そういった制度設計に実際に会長としてかかわる中で、具体的な成果としては、中核市と特例市の制度の統合、地方中枢拠点都市を中心とした新たな広域連携の制度の創設等が今通常国会に、法制化に向けて法案提出の運びとなっているというところでございます・・」と鳥取市の中核市への移行の可能性が非常に高まって来たことを述べている。これを読むと、鳥取市の中核市移行は竹内前市長の長年にわたる悲願と言ってよいことがよく判る。
このような市の動きは、県は当然把握していたはず。この昨年段階での基本計画の配置図を見る限り、鳥取市が中核市になって保健所が市に移管されることになっても、県は保健所は現在の位置のままでよいと見ていたものと考えられる。
ところが、今年の六月定例市議会で「県は東部事務所の建物は解体の方針」という見解が突然示された。続いて県が今年七月に公表した基本設計書(概要版)その1 の配置図では東部福祉事務所が消えてなくなってしまった。二種類の配置予定図を下に示す。
思うに、保健所を駅南庁舎に押し込む話のつじつまを合わせるために、今年になってから市の幹部が県に東部福祉事務所の取り壊しをお願いに行ったのだろう。それを簡単に引き受けてしまう県の役人も実に情けない。背景には県と市の役人同士のなれ合い、市民の監視の眼の届かない所でのお互いのボロの隠し合いがあるのだろう。県民・市民の負担が増えてもかまわないから、自分たちの職権やメンツだけは維持したいというところか。あるいは、ネギを背負ってやって来た鳥取市というカモに、県がささやかなお礼として福祉事務所解体をプレゼントしたのかもしれない。
県には、なぜそれまでの方針を急きょ変更して東部福祉事務所を解体することにしたのか、その理由と決定経過の説明を求めたい。県民・国民の税金によって日々生活し、その税金の使い道を決定する権限を有する公務員が、不透明な理由によって本来県民のものである公有財産の処分を決定し、しかもその決定過程を納税者に説明しようとしないことは絶対に許されるものではない。
最後に、この決議に賛成した22名の議員の名前を示しておきます。去年から議決の賛否が議員ごとに公表されるようになったので、次のサイトから転載したものです。 「議員の賛否・議決結果」
・賛成議員
会派新生:雲坂 衡、吉野恭介、星見健蔵、魚埼 勇、横山 明、西村紳一郎、岡田信俊、寺坂寛夫、砂田典男、
山田延孝、金谷洋治、下村佳弘、上杉栄一 (議長の房安光は、採決には不参加)
公明党 :前田伸一、石田憲太郎、平野真理子、桑田達也、田村繁己
市民フォーラム: 秋山智博、長坂則翁
無所属: 足立孝史、吉田博幸
/以上
・10/23に「市政を考える講演会−鳥取市の中核市移行と市庁舎問題」」を開催しました。
(2015.10.27)
昨年九月の開催以来約一年ぶりに、今年も鳥取大学地域学部の藤田教授による「市政を考える講演会」を開催しました。演題は「鳥取市の中核市移行と市庁舎問題」。鳥取市の中核市への移行内容とその影響について、平易かつ判りやすい解説で定評のある藤田先生に詳しく解説していただきました。
10月の休日はどこの会場にも空きが無かったため、平日の夕方という参加しづらい時間帯となってしまいましたが、それにもかかわらず約110人もの多くの皆様にご参加いただきました。厚く御礼申し上げます。
以下、藤田先生の講演の概要について報告します。
また講演の後で、深澤鳥取市長を被告として新市庁舎建設差し止め訴訟を現在闘っておられる「鳥取の未来を次世代につなぐ会」の石上事務局長に、提訴に至った背景と裁判の現状についてアピールを行っていただきました。このアピールについては、「つなぐ会」の活動に共感した我々「市民の会」の幹事が、彼らの活動内容を広く市民の皆さんに知っていただきたい思いで、急きょお願いしたものです。この概要も報告します。
(1)講演の概要
藤田先生自ら準備作成された講演会用資料を右に示します。 2015.10.23講演会資料(PDF)
この資料の最初のページに、講演全体の流れが示してあります。
・中核市とは大都市制度の一種。人口50万人以上の政令指定都市には、かなり大幅に国の権限が委譲されている。中核市は人口20万人以上が条件であり、政令指定都市の約7割程度の権限が委譲される。鳥取市は現在の人口が約19万人であるが、合併直後の20万人を超えていた時期に特例市となっており、すでに特例市となった市に対しては特例措置として人口が20万人以下でも希望すれば中核市になることが出来る。(資料:1〜2ページ)
・全国には中核市となる条件を十分に満たしているにもかかわらず、中核市となることを希望しない市(このリンクは編集者が補足)もたくさんある。鳥取市が中核市になりたがっているのはなぜか、単なるプライドのためではないだろうか?
鳥取市は、2004年に大合併によって人口が20万人を超え山陰で初めての特例市となった。山陰初の特例市となるためにあの大合併を行なったと言ってよい。合併された町村も、当時は「合併でステータスが上がる、財政も安定する」と思っていた。あの大合併で鳥取市はどう変わったのか?その結果を十分に検証する必要がある。
・中核市になると保健・福祉関係の業務が県から市に移譲される。現在、県と市の検討の中で2211の業務が県から移譲される予定となっている。この内の約半分は保健所に関する業務である。(資料:3〜4ページ)
鳥取市は権限をたくさん取り込んで強い権力を持ちたがっているように見えるが、仕事が増えても人材と財源が伴わなければ、住民に対するサービスは確実に低下しマイナスの効果しかない。
・中核市移行に伴う県の東部保健所の鳥取市への移管に関して、鳥取市は駅南庁舎に保健所を入れる計画を進めている。このために、駅南庁舎に入れる予定であった庁舎機能が新庁舎に移ることで新庁舎の床面積が増え、新庁舎の建設費は当初の予定の1.5倍の約百億円まで膨らんでしまった。
さらに、保健所の専門職員の確保が問題となる。県全体の保健所職員70数名のうち、医師、保健師、薬剤師、検査技師等の約50名が専門職であり、特に医師については現状でも全国的に確保が困難とされている。(資料:5ページ)
・保健所設置に関する財政問題は専門職の確保以上に大問題となる。資料の6ページは県がまとめた業務移譲による市財政への影響試算結果であるが、保健所の移管等によって市の歳出は約16億円増加すると試算されている。一方、市の歳入としては、確定している数字は手数料収入の約2千万円しかない。
(編集者注:県から市に任意に移譲されている事務の権限移譲交付金は約750万円となっているが、これは資料7ページの松江市の資料に見るように、中核市になることで歳入が増加するのではなく、逆に歳入の減額となる数字である。そのほかに挙げられている数字として国庫支出金の県から市への振替分があるが、ここに挙げられている主な事業三例の振替合計では、市の歳入増加は約9千8百万円にしかならない。)
主たる歳入財源となるはずの国からの普通(地方)交付税に至っては、県は「市で算出すべき」として試算を放棄している。つまり、中核市になって仕事が増えることで毎年16億円もの新たな財源が必要になるのだが、その財源が確実に確保できるかどうかは未だに明確ではないのである。国が保健所移管に伴う費用増加を全額負担してくれる保証は、どこにもない。
・そもそも、国が過去に市町村合併を推進した大きな理由は国の財政問題にあり、自治体の数を減らすことで地方交付税を削減しようとしたのである。現在の国の予算の歳出項目で大きな順から言えば、社会保障費(年金・医療・介護)、公債費(国が国債等を発行して金融機関から借りた過去の借金の返済費用)、地方交付税の順である。政権与党が社会保障費を減らそうとすれば、その与党が次の選挙で負けるのは確実と言ってよいだろう。また、金融機関から借りた借金を国が返さないというわけにはいかない。一番削りやすいのは地方交付税であり、今までもそうであったが、今後も地方交付税が年々減っていく可能性は非常に高いものと予想される。
・鳥取市は駅南庁舎に保健所を入れることで、駅南庁舎にあった行政機能を新庁舎に一極集中させようとしているが、これは防災の観点から見ると非常に危険な事である。新庁舎が水害にあったら市の行政がマヒしてしまう。行政機能を分散させることが今日の防災対策では常識である。
・自治体の行政の質は「住民がその自治体で暮らしていて幸福と感じるかどうか」でその評価が決まる。現在の鳥取市は自分の持っている権限を強くすることにしか関心が無いように見えるが、その一方で鳥取市民の幸福感はどんどん低下しているのではないか?
・今年の春に鳥取市が行なった十年前の大合併に関するアンケート結果を資料の8ページに示す。このページの右側のグラフを見れば、合併後も人口減少の傾向に歯止めがかかっていないことがよく判る。
注目されるのは、鳥取市に合併された周辺町村住民の合併に対する評価が著しく低い事である。合併効果に対して否定的な、「公共料金など住民負担が増加」、「きめ細かい行政サービスが低下」、「中山間地域の整備の遅れ」の三項目を指摘する住民の比率が半数を超えている地域は、合併された周辺町村に集中している。これらの地域では「支所職員は地域のことを何も知らず頼りない」、「支所に行っても、職員はパソコン画面をにらんでいるだけで人の顔を見ようともしない。とても相談する気にはならない」という声をよく聞く。要するに、合併された旧町村地域では、住民の幸福感は急速に低下しているのである。
・中核市に県の権限を委譲することは、県の存在意義の低下にほかならない。中核市が増えれば県の空洞化が進み、道州制への道が見えてくる。財界は以前から「全国に三百の自治体があれば十分」と言っている。
鳥取県が無くなり「中国州」又は「中四国州」が出来れば、県庁を失った鳥取市の衰退は確実である。地裁、地検、労働局、日銀等の国の出先機関が無くなれば、その職員も鳥取市から姿を消すことになる。国立の鳥取大学が他大学と統合されて他の都市に移転される可能性も出てくるだろう。その場合には、職員とその家族・学生を合わせて一万人以上の人口が鳥取市から失われることになる。
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豊富な資料に沿って解説を展開される藤田先生 平日夕方にも係らず百名を超える参加者
(2)「鳥取の未来を次世代につなぐ会」のアピール
「事務局長の石上と申します。私たちの主張を述べさせていただきます。
住民投票は民主主義の根幹をなすものであり、これを無視することはあってはならない。鳥取市が2012年5月に実施された市庁舎新築移転に関する住民投票結果の不当な軽視をしているのは非常に問題である。このまま何もしないでいれば、ズルズルと市庁舎新築が進んでしまう。そこで私たちは、今年の一月頃からどうやって対抗するか検討を重ねてきた。杉山弁護士の協力も頂いて新築の予算執行の段階で監査請求を行い、これが監査棄却された今年六月の時点で訴訟に踏み切った。原告団は20代のお母さんから80代の方まで幅広いメンバーから構成された16名である。
第一回の公判は8/14に行われました。第二回目の公判は来月11/6の11hから鳥取地裁で行われる予定です。本日お集まりの皆さんには、ぜひ第二回目の公判の傍聴にご参加いただきたいと思います。
裁判費用は市民からの寄付・カンパでまかなう予定であり、三人の弁護士さんからは「集まっただけでいいから」とほとんどボランティアで支援していただいている。先日、全国の民主主義活動を応援するサイトに我々の住民訴訟活動が紹介された。紹介されて以来、私たちのサイトへのアクセスが急増し、応援のメッセージも頂いている。住民投票結果をホゴにされたのは全国で鳥取市が初めてであり、その意味で鳥取市は全国的に注目されている。
私たちは最高裁まで行く覚悟でいます。今後とも皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。本日は、こうやって「市民の会」の講演会の中でPRする機会をいただき、本当にありがとうございました。」
「つなぐ会」事務局長の石上氏
(3)感想
藤田先生の講演を聞いて一番驚いたのは、「保健所業務の県から市への移管で市の歳出は約16億円増えるが、歳入の金額はあいまいで不明確なまま」であるという事であった。資料の6ページの県の試算については知っていたが、普通交付税と国庫支出金の項目に具体的な金額が書かれていないことは正直見落としていた。
国からの鳥取市への地方交付税(普通交付税)の交付額(当初予算)は、2013年度の240.7億円をピークとして、2014年度は235.8億円、2015年度は234.6億円と減少に転じている。この間、鳥取市の合併特例債の償還額(金融機関への借金返済額)は16.1億円、17.8億円、20.5億円と増加し続けている。国は合併特例債の償還額の七割を地方交付税に含めて補てんすると約束しているが、それが本当ならば鳥取市への地方交付税は増加し続けるはずである。深澤市長や与党議員は「合併特例債は有利な制度だからどんどん使おう」と新庁舎建設費だけでも約百億円まで膨らませたが、鳥取市への地方交付税の推移の実態を見れば、この巨額の建設費が市民の将来の負担となることは明らかである。国は保健所費用も地方交付税に含めて支給する(つもり)と最初は言うだろうが、この講演で藤田先生が話されたように、もはや国にはそんな約束を守る裏付けとなる財政的な余裕はない。このまま進めば、市庁舎新築費用に加えて保健所の維持費用も市民の肩に重くのしかかってくることになるだろう。
9月の市議会では、与党(会派新生、公明党、市民フォーラム)により提出された「鳥取市の中核市移行の推進に関する決議」が賛成多数で可決されている。いったい、彼らは何が欲しくて中核市になりたいのか、市の支出が増えるがその財源はどうするつもりなのか、賛成した市会議員に聞いてみたいものである。この決議の内容に関しては、別途報告したいと思います。
なお、この講演会の資料は当会事務所に残部があります。ご希望の方にはお分けしますので、電話、又はメール(このページの一番上に記載)にてご連絡ください。
「鳥取の未来を次世代につなぐ会」の活動については、我々「市民の会」と目的は同じであり、今後も協力して鳥取市政の透明性の改善に努めていきたいと思います。11/6の二回目公判を傍聴して、このサイトでも報告する予定です。
/以上
・ハザードマップを見れば、旧市立病院跡地は現本庁舎よりも明らかに水害の危険度が大!
(2015.9.24) (注:この記事の内容は、編集者ブログの9/17付け記事の内容を一部改編したものです。)
約二週間前の9/10に鬼怒川の堤防が決壊して大水害となりましたが、同じ日に鳥取市周辺にも洪水警報が発令されていました。筆者は当日の朝10時前に千代川にかかる千代大橋を通りましたが、警戒水位まではまだ3m以上の余裕がありました。ただし、あと1mほど水位が上がれば水が河川敷の上にあふれて、道路やグラウンドが水没する寸前の状態でした。グラウンドの土が流された場合、過去に何回も繰り返されたように、数百万円か数千万円の市補正予算を新たに組んで復旧工事をすることになります。
鳥取市での水害の歴史を示す資料を見つけたので、ご紹介します。「千代川水系の概要」(国土交通省)この資料あるに過去の主な洪水の一覧表を下に示します。注目されるのは、この表に載っている11件の洪水のすべてが九月と十月に発生、かつ、そのすべてが台風に伴う豪雨によるものであるということです。要するに、鳥取市が水害に襲われるのはちょうど今の時期なのです。
一番最近の平成16年10月20日の洪水について詳しく見てみましょう。この時の台風23号による被害は全国的なものであり、特に日本海側での水害がひどかったようです。鳥取市は若干の家屋の床上・床下浸水だけで済みましたが、京都府や兵庫県では堤防が決壊して広範囲に洪水が発生しました。京都府では15人、兵庫県では26人もの死者を出しています。当時の様子を伝える記事を紹介します。
舞鶴市の由良川では、堤防が決壊して観光バスが水没。バスの屋根に登って救助を待つ乗客の姿が、新聞やテレビでも報道されたことは今でも記憶に残っています。この記事を読むと、上流にある大野ダムも決壊の危機に瀕していたことがわかります。鳥取市の袋川では、中流にできた殿ダムが洪水防止の役割を果たすと言われていますが、本当に大丈夫でしょうか?「想定外」の豪雨が集中してダムが一気に決壊した場合、下流の市町村は壊滅状態になることは明らかです。ダムに頼るのではなく、上流の山地全体の保水力を高める必要があります。
「豊岡市街が水没」円山川と支流の出石川の合流点に近い地点で右岸側堤防が決壊。左岸側の堤防は決壊しなかったものの、「内水氾濫」という現象が発生。左岸の河近くにあった公立豊岡病院は完全に水没しました。このブログによると、公立豊岡病院は水没の翌年に川から遠く離れた丘陵地に移転したそうです。「内水氾濫」については、後でまた触れます。
当時の台風23号のデータを見ると、その進路は鳥取よりも東寄りの本州縦断コースとなっています。このコースの場合、北西からの強い風が、気温に比べてまだ温かい日本海で集めた水分を大量に山陰地方に運び、豪雨として降らせるのです。この台風があと数十km西よりのコースを進んでいたら、舞鶴や豊岡を襲ったのと同様の豪雨が鳥取市を襲っていたことでしょう。
さて、豊岡市の病院を襲った内水氾濫について。「内水氾濫」(独立行政法人 防災科学技術研究所)このサイトによれば、「 内水氾濫が生じやすい地形には,平野の中のより低い個所である後背低地・旧河道・旧沼沢地,・・・・,市街地化の進んだ丘陵・台地内の谷底低地,台地面上の凹地や浅い谷,地盤沈下域,ゼロメートル地帯,干拓地などがあります。」とのこと。市街化が進んだ地域では、舗装でおおわれた面積が増えて雨水が地中にしみこみにくくなり、地表にあふれてしまう現象が発生しやすい。
昨年十二月に鳥取市議会は、鳥取駅から南西に約300mの旧市立病院跡地に市庁舎を新築移転することを内容とする位置条例を可決しました。このために要する費用は、建設費だけでも約百億円に達するとしています。
移転先の旧市立病院跡地は袋川から約300mの距離にあり、袋川の氾濫原からなるこの跡地の土壌には旧河道の名残である砂利層が大量に含まれ、しかもこの砂利層の中を現在も水が流れている可能性が高いことが明らかになっています。このような地層は、地震発生の際には地下から水がしみ出して液状化現象が発生する可能性が極めて高いとされています。当然、地下水位も高く、内水氾濫が起きやすい地域であると考えられます。ついでに、鳥取市のハザードマップも紹介しておきます。次のサイトのマップ1を選ぶと鳥取市旧市街地の浸水深さ予想を見ることができます。現庁舎と市庁舎移転先の市立病院跡地の周辺を拡大したマップを下に示します。赤い線で囲っている四角形が、現本庁舎敷地、および新築移転予定の本庁舎の敷地です。
現市庁舎の敷地は50cm〜2mの浸水、移転予定地の旧市立病院跡地も同じく50cm〜2mの浸水予想となっています。しかし、大きな差があるのは、これら二か所の敷地を取り囲む周辺地域の浸水予想です。現市庁舎を取り囲む住宅・商業地の大半は50cm未満とされているのに対して、旧市立病院跡地と袋川にはさまれた跡地西側は2〜5mの予想となっています。また、跡地北側と東側は1〜2m、跡地南側のみが50cm〜1mとなっています。病院跡地付近で内水氾濫が発生した場合、袋川の土手に阻まれて水の逃げ場がありません。水は病院跡地の西側に溜まり続け、その水位は時間と共に上がるものと予想されます。なお、このマップでは、浸水深さの予想の前提として、「・・内水による氾濫は考慮されていません」とのご丁寧なただし書きまでついています。現市庁舎と病院跡地、どちらが水害に会う危険性が高いかは、小学生でもわかるでしょう。
さらに、病院跡地に近い千代川堤防ですが、豪雨に対して十分な備えがあるとは言えません。それどころか、この付近は千代川全体の中で最も洪水に対して脆弱な箇所であると言っても良いでしょう。下の図は上に紹介した国交省作成の「千代川水系の概要」に載っていたものです。緑のラインが千代川が流すことのできる流量を、赤のラインは100年に一度の頻度で起こる大洪水で想定される流量を示しています。赤いラインが緑のラインを越えている区間(図でピンク色で塗ってある部分)は、この大洪水の際に千代川の水が堤防を越えてあふれ出す危険性が極めて高い区間であることを示しています。病院跡地に近い新袋川が千代川に合流する地点では、大洪水の際には、堤防が流すことのできる流量よりも三割以上も多い水量がこの地点に殺到すると予想されています。当然、ばく大な量の氾濫水が堤防を乗り越えて周辺地域に襲いかかることになります。
最近は日本の至る所で「百年に一度の大洪水」が頻発しており、近い将来、千代川にもこの図の赤いラインで示された流量の大洪水が襲来する可能性が十分にあるのです。
なぜ、巨額の費用を使ってまでして、わざわざ水害被害を受けやすい川のそばに市庁舎を持ってこなければならないのでしょうか。しかも、市は新築移転の第一の理由として防災体制の強化を挙げているのですから、鳥取市の姿勢とこの移転案に賛成した市議の対応は実に滑稽というほかはありません。
地球温暖化に伴って、過去には百年に一度の発生確率とされていた豪雨が、数年に一度の頻度で発生するようになってきています。今回の関東・東北の大水害で明らかになったように、現在の堤防は、「従来の百年に一度の豪雨」には耐えられないものがほとんどです。巨額費用を費やして移転新築された市庁舎が、近い将来に今回の常総市の市役所と同様に水没した場合、この移転計画を推進した深澤義彦鳥取市長と、市庁舎新築移転に賛成した市議会議員の責任が厳しく問われることになるでしょう。
/以上
・深澤市長が市庁舎新築移転のために活用しようとしている合併特例債と言う国の制度は、本当に鳥取市にとって「有利な制度」でしょうか?(2015.7.9)
先週月曜日まで開催されていた六月定例市議会では、市庁舎新築移転に関する設計費用追加の補正予算に関する議論の中で、去年12月の新築移転に関する位置条例採決に賛成して以来、この案に賛成しつづける複数の議員から「合併特例債という有利な制度を利用するためには、早急に新築庁舎の設計を進めるべき」との意見が繰り返し表明されていました。では、本当に合併特例債という制度は、今の鳥取市にとって本当に有利な制度なのでしょうか?今回はこの問題について、実際の数字を元に詳しく調べてみたいと思います。
合併特例債の制度については、以前にも旧「市民の会」のサイトで解説したことがあります。簡単に言えば、例えば市が100億円の事業を行う場合、その費用のうちの最大で95億円までは、市が独自に金融機関から借金してその事業を行うことを国が認めるという制度です。残りの5億円は市が一般会計で支払うことになっています。95億円を借金した以上、市はその元金95億円とプラスの利子を数十年かけて金融機関に返済しなければなりません。国の説明では、元金95億円とその利子を合計した金額の七割は国が市に支給する地方交付税の中に含めて返還するとのことです。元金と金利の合計の残りの三割は市の負担となります。
ちょっと聞いただけでは、とても有利な制度に見えます。借金の金利によって若干割合が変わるが、それでも総費用の約七割を国が負担してくれて、市の負担は約三割で済むらしい。この制度の活用に賛成する市会議員が多くいても別に不思議ではない。でも本当に国は、今まで地方交付税を通じて事業費の七割を市に支払ってくれて来たのでしょうか?実際の数字を元に検証してみましょう。
(1)鳥取市が国から受け取っている地方交付税の推移について
鳥取市の合併特例債の活用状況は、今年五月末現在で約310億円に達しています。国から七割の補助を受けることを頼りに、H16年度の合併以来、約十年間の累計で市はこれだけの借金をしてきたわけです。今年度H27年度の予算によると(P6のグラフ参照)、今年度末の合併特例債の推定残高は約255億円です。新庁舎建設費用に約98億円使うとなると、その大部分は合併特例債を活用することになるので、市の合併特例債としての借金は、数年後にさらに百億円近く増えることになります。一方、過去の合併特例債の毎年の償還額(借金の返済分、元金と利息を含む)の数字をH24年度分までは入手済。それによるとH24年度の償還額は約16億円、この年度の五月末での合併特例債活用状況は約232億円であり、最近の三年間で80億円弱増加しています。償還額はほぼ毎年、前年よりも1億円以上増えているので、今年度の償還額は20億円程度になっているものと推定されます。
さて、国の約束によれば、毎年の償還額の七割は国が地方交付税の中に含めて支払うことになっています。本当に支払われているのでしょうか?下の図−1のグラフは、合併が実施された翌年のH16年度以降に鳥取市が国から受け取った地方交付税(予算時)の推移です。赤い部分は毎年の合併特例債償還額の七割(国負担分)を、緑色の部分はそれ以外の費用を示しています。赤と緑を足すとその年度の地方交付税金額(予算時)になります。なお、H25年度以降の償還額は推定値であり、償還額全体がH24年度の16億円に対して毎年一億円ずつ増えると仮定して、その七割の金額を赤色で示しています。償還額の残り三割は元々から市の負担であり、市民税等の自主財源から支払われることになります。
図−1 鳥取市に対する地方交付税の推移
このグラフの最近数年間を見ると、なんだかおかしいですね。これで本当に国は合併特例債の国負担分を支払ってくれているのでしょうか?緑の部分は市が自由に使える費用を示していますが、今年度はピーク時のH25年度に比べて約8億円も減少しています。
国が合併特例債の大部分の費用を地方交付税に含めて支援すると聞いた場合、我々がイメージするのは、ふつうは次のようなグラフです。当然、市が自由に使える費用に上乗せして支給されるだろうと想像します。でも現実は、上の図です。
図−2 本当に国が補助してくれている場合の地方交付税推移のイメージ
結局、地方交付税額が右肩上がりの場合だけ国が補助してくれていると見なせるのであって、地方交付税全体が横ばいか右肩下がりの場合には、実質的な国の補助は無いと言ってよい。それどころか、これらの場合には、合併特例債を使えば使うだけ将来の借金返済分が増え、その結果、市が自由に使える財源はより多く不足することは明らかです。合併特例債という借金の返済分の三割は元々から市の自主財源から返すことになっていますから、合併特例債を使えば使うほど自主財源の余裕もなくなることも明らかです。
それでは、国から鳥取市へ支給される地方交付税は、今後はどうなるのでしょうか?次はその点を調べてみましょう。
(2)国が地方に支給する地方交付税が、今後増えることはない。
次のグラフに各年度の政府予算における地方交付税の推移を示します。
図−3 政府予算での地方交付税の推移、および政府債務の対GDP比の推移
この期間中、時の内閣の方針やリーマンショック、東日本大震災の発生などによって、地方交付税の額が大きく変動しました。
H13/4 〜 H18/9 小泉内閣 「聖域なき歳出削減」
H18/9 〜 H21/9 自民党の短命内閣が続く(安倍、福田、麻生内閣)
(H20年にはリーマンショック発生)
H21/9 〜 H24/12 民主党政権(鳩山、管、野田)
(H23年には東日本大震災発生)
H24/12 〜 現在 安倍内閣
振り返ってみれば、小泉内閣の時代には歳出削減の効果がかなりあり、政府債務の対GDP比率は一時的に若干減少しました。しかし、その後のリーマンショック、大震災対策等で再び財政規律がゆるみ、現在の政府債務の対GDP比は234%にまで膨らんでいます(財務省)。連日のように話題となっている、すでに実質的に国家破たんしたギリシャが172%ですから、日本ははるかにその上を行っているのです。
このような世界史上に前例がないほどの借金漬けでも日本政府が破産しないのは、国債等の政府債務の九割以上を国内で保有しているからと言われています。確かにその通りなのですが、日本の将来には少子高齢化という難題が確実に待ち構えています(2025年問題)。団塊の世代が75才を超える2025年頃には、個人預金の大半を占める高齢者層の銀行預金が今よりも減ることはほぼ確実。日本国債の買い手が減って金利が高騰、政府支出に占める公債費(国債等の借金を返済する費用)が膨らんで、一般の事業に回すおカネが枯渇する可能性が十分にあります。
さらに、高齢化に伴って社会保障費(年金、医療、介護等への国からの補助)が年々増加しており、今年H27年度の政府予算での社会保障費は31.5兆円で、この八年間で10.4兆円も増加。毎年、前年よりも1兆円を超えるペースで増え続けています。社会保障費の増加に食われて、上の図−3に見るように、地方交付税はH24年度をピークとしてその後は年々削減されています。少子高齢化社会が本格化するにつれて、今後、この傾向がさらに加速する可能性は極めて高いでしょう。要するに、この先、国からの地方交付税が増える可能性はほとんど期待できないのです。良くて一時的に横ばいです。日頃、新聞の政治・経済面を読んでいる方であれば、この予想については納得して頂けるでしょう。
(3)鳥取市への将来の地方交付税はどうなるのか?
上に述べたことを元にして、鳥取市への地方交付税の今後の推移を試算してみましょう。仮定するのは以下の四条件です。
〇 合併後の特例措置であった合併算定替が昨年で終了、地方交付税は今後五年間で段階的に減少し、H32年度には昨年よりも15億円減となる。このことは国の政策としてすでに決定済み。
〇 H33年度以降は、地方交付税は毎年、前年よりも3億円ずつ減少すると仮定。
〇 合併特例債償還分はH27年度を19億円として以後毎年0.5億円ずつ増えると仮定する。H32年からはこれに新庁舎建設に伴う償還分の5億円が加算される(新庁舎建設に伴い発行する合併特例債の元利総額は100億円、20年返済)とする。この毎年の償還分の七割が国負担分として地方交付税の中に含まれる。
〇 H31年度より、中核市移行に伴い保健所が市に移管されるものとする。保健所経費は地方交付税に含まれて支給されるので、保健所等経費として年10億円が地方交付税に加算されるものとする。(市は保健所・環境管理部門の移行に伴い約70人の増員を想定しているが、県職員の平均的な人件費から計算すると、この増員分の人件費は年間約5億円。運営経費としてさらに5億円を加算して10億円と仮定。)
これらの前提条件のもとで、H35年度までの推移を試算すると下の図のようになります。黄色の部分は保健所等の経費です。図の赤い部分に、新庁舎建設費の返済が加算されるH32年度からは、自由に使える費用である緑の部分がガクンと下がっていることがわかります。上に仮定した数値の大小によって多少は傾きが変わって来るものの、市が自由に使える費用である緑の部分が右肩下がりであることには変わりはないでしょう。
「合併特例債は有利な制度だからドンドン使いましょう」などと口ぐせのように言っている深澤市長とそれに追随する議員には、有利な制度であると言う根拠を市民に対して具体的に示す義務があります。明確な根拠を示せないのなら、ただのウソツキです。
図−4 今後の鳥取市への地方交付税の予想例
この予測グラフを正確なものにするためには、執行部に詳細な将来計画や、実際の償還額の将来予測等の正確な数字を提出させることが必要です。そのような仕事こそ市会議員の皆さんの役割であり、出番です。
現在の市議会に見る与党議員のように、正確な数字を知ろうともせずに、自分の思い込みや感情論だけで構成された低レベルの意見表明をすることは、時間と議員報酬の完全なムダであります。深澤市長の方針に賛成しつづける会派の議員は、市民から託された行政の監視役という職責を全くはたしていないと、心底から感じます。
(4)中核市への移行に、はたしてメリットはあるのか?
6月定例市議会を傍聴していて非常に疑問に思ったのは、中核市移行に賛成する議員の演説の中で、移行による具体的なメリットを示せている議員が一人もいなかったことです。「県東部および但馬北部の発展のためには、鳥取市が中核市になるべきである」とか、「中核市になることで、鳥取市の求心力が高まる」とか、そのような抽象的な内容ばかりでした。要するに、中核市と言う看板が欲しい、その看板を自慢したいだけのようです。近隣には他に大きな町は無く、今のままでも鳥取市がこの地域の中心であることは自明なのですが。
具体的な数字を調べて、中核市になるメリットがあるかどうかを調べてみましょう。次のサイトにはH25年度までの全国の特例市と中核市に国から支給されている地方交付税のデータが載っています。
特例市地方交付税ランキング 中核市地方交付税ランキング
現在、鳥取市は特例市ですが、このランキングによるとH17〜H25の九年間、鳥取市は一人あたりの地方交付税の金額が、全国の約40の特例市の中で常に第一位か第二位でした。これは名誉なことではありません。自主財源が多く国からの支援が少なくて済む都市ほど地方交付税は減額されるので、地方交付税の支給額が多いことは、自前の財源が乏しく財政基盤がぜい弱な都市であることを意味しています。いわば、鳥取市は「一番貧しいレベルの特例市」と言ってよいのです。
約42の中核市の中でランキング第一位は函館市であり、H25年度には一人当たり年間で130,789円の地方交付税が支給されています。同じ年度の特例市の第一位は上越市で一人当たり134,772円、第二位は鳥取市で133,287円です。中核市になると保健所等の経費が地方交付税の中に含まれて支給されます。上の試算では保健所等の経費を10億円と仮定しましたが、これで計算すると一人あたりの地方交付税は今よりも約五千円増えます。鳥取市は中核市への移行によって、全国約80の中核市・特例市の中で、一人当たり地方交付税支給額部門で堂々の(?)第一位の座を獲得することになるでしょう。
「貧乏な鳥取市が、国からたくさんカネをもらって何が悪い!」と言われる方があるかもしれません。もちろん、よその街の人たちが稼いで税金として収めたカネを、自力だけでは生活できない自治体の住民が国を経由してもらってメシを食うことは、国の制度として許容されています。プライドなど自分には何の関係もないと思う人であれば、それはそれでよいのでしょう。問題は上で説明したように、将来、いや現在すでに、地方交付税が減ることが確実な点にあります。
2015.6.6の日本海新聞の記事によると、「県はH30年度決算時の財政目標として借入残高(借金)三千億円以下、財政調整基金(災害等の突発時に用いるために、すぐに取り出し可能な基金)を300億円以上確保することを目標として掲げた」とのこと。国が今後、地方交付税を削減した場合には、今のままでは財政調整基金はH29年度にはゼロになると予測されることが、主な理由とされています。
この記事に見られるように、県は将来の地方交付税の削減に備えて、なるべく借金や経費を減らして身軽になろうと今から着々と準備中です。一方、鳥取市はわざわざ中核市へと名乗りを上げて、新たに保健所や環境管理部門を県から移譲してもらおうと必死になっています。県から見れば、まさに「渡りに船」、「カモがネギ背負って・・」と言うところでしょう。
市が新たに保健所等の人員や設備を抱え込んでも、その財源は国からの地方交付税だけが頼りです。さすがに最初の費用増額分は国が補てんしてくれるでしょうが、将来、地方交付税の総額が減らされても保健所を県にお返しすることなどできるはずはありません。「調子に乗って屋根に登ったらハシゴを外された」状態になることは明白です。今は余計な借金や経費を極力抱え込まないようにしておくことが、将来確実にやって来る財源難時代に対する備えなのです。
下の図に今年度、H27年度の鳥取市予算の歳入を示します。ちょっと数字が見にくいですが、市の自主財源は全歳入の39%にしかすぎません。しかも自主財源の主力である市税は、七年前のH20年度の250.3億円がピーク値であり、それに比べて今年度予算の市税は22.3億円も減少しています。地方交付税は歳入全体の26%を占めており、市税とほぼ同額です。地方交付税の削減が鳥取市の財政にもたらす影響は極めて大きいのです。
図−5 H27年度鳥取市予算−歳入内訳
保健所を市に移管してその経費を地方交付税の加算分として受け取ることは、国からの財源への依存度をさらに高めることになります。将来、地方交付税が削減される際には、国は個々の自治体の過去の経緯などをいちいち考慮することなく、一律の割合で削減しようとするでしょう。当然、その影響は自主財源の割合が少なく国からの財源割合が多い自治体ほど深刻なものとなるでしょう。その場合には、市民へのサービスの削減、市職員の減給・リストラ、水道料等の各種料金・手数料の値上げ、国保料等への補助の削減などでしのぐしかありません。
保健所の県から市への移管は、市財政の健全性の確保という視点から見れば、今でさえ同様の規模の都市の中では「市財政の国庫財源への依存度」が日本一高い鳥取市の国への依存度を、さらに高めると言う点において明らかにデメリットなのです。
(5)結語
この記事を書くために、合併特例債や市財政、地方交付税の調査をしていて、不意にある言葉を思い出しました。それは、旧「市民の会」主催で2014.2.16に鳥取市内で開催された講演会「これからの地域経営」の講師をされた福嶋浩彦氏の言葉です。
米子市出身、千葉県我孫子市長を務められた後は消費者庁長官、現在は中央学院大学教授を務められている福嶋氏。講演終了後の会場からの質問に答えて、「元鳥取県知事の片山氏は米子市での講演会で、『(合併特例債を)後で地方交付税で面倒見ると言うのはウソだから!信用するな!(国には)散々ダマされてきたでしょ。まだ、ダマされたいんですか!』と発言されていました。」とのことでした。「福嶋氏講演会要約」のP6参照のこと
実に、片山前知事のご指摘の通りでした。「合併特例債を後で国が面倒を見ると言うのは完全なウソ」であることを、今回自分で実際に数字を調べてみて、身に染みて実感しました。(公務員って、上の立場にいる人間になるほど、平気で市民をダマすんですね。今の鳥取市役所では、市民をダマす能力が高い人ほど出世する仕組みになっているのかもしれません。)
「合併特例債は有利な制度、利用しなければ損。」などと根拠も示さずに平気で口にする市の幹部や市会議員に出会ったら、この記事の中のグラフを示して、詳しい説明をシツコク求めてください。よろしくお願いします。
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・6/29の市議会本会議で「駅南庁舎へ保健所を移設し新庁舎の床面積を増やして、その建設費用を約33億円増額することを前提とした、設計費用追加分の約1千2百万円の補正予算」が採決され、可決されました。(2015.7.2)
今週月曜日の六月定例議会最終日に、新市庁舎の設計費の増額に関する補正予算案が採決に付され、賛成多数で可決・成立しました。この補正予算案は、さきに市が公表した「みんなでつくる鳥取市庁舎の考え方」の内容を受けて、保健所を駅南庁舎に移し、建設費を当初案の1.5倍の98.4億円に増額するという案を実現するための設計費用に関するものです。
今年度の当初予算案では、新庁舎の設計費用としては、今年度9609万円、来年度と再来年度の予定出費合計(債務負担行為)が1億3921万円となっていました。今回の補正予算成立で、この設計費用は今年度が1億821万円、来年度と再来年度の予定出費合計が1億6749万円へと増額されることになりました。
採決に先立って、各会派議員からの賛成・反対表明演説が行なわれました。反対演説として勝田議員と角谷議員、賛成演説として西村議員と雲坂議員がそれぞれ意見を表明。ここでは、この新庁舎増床計画の問題点を全般的に的確に指摘されていた勝田議員の演説の概要を紹介します。
・勝田議員の反対討論の概要
(1) 昨年12月の市庁舎新築移転を位置条例採決前の説明では、深澤市長は、中核市移行により保健所を駅南庁舎に移転することに伴って新庁舎を増床することについては一言も触れなかった。その約半年前には中核市への移行方針を表明していたにもかからわずである。あくまで「駅南庁舎は庁舎として利用するのが最善である」と説明していた。
(2) 6/8のマスコミ報道によると、市長は「新築移転と事業費とは別問題」と発言したそうである。位置条例の採決時に提案されていた建設費用65.6億円は、位置条例の内容と不可分のはず。市長は、なぜ議会で決めたことを前に進めようとしないのか。
(3) 市の公共施設白書によれば、現在の市有施設を維持するためには、今後50年間に渡って毎年65.5億円もの費用が必要。従って、今後40年間で施設の床面積を現在よりも29%減らす方針との事。一方で施設を減らそうとしながら、なぜ新庁舎は増床しようとするのか。
(4) 保健所は感染症対策のカナメに位置づけられている。市長は6/22の答弁で「感染症患者が保健所に来ることはない」と明言されたが、感染を自覚していない患者が診察を受けに保健所を訪れる可能性は極めて高い。現在でも、駅南庁舎にはプール、図書館、放送大学が入居しており、不特定多数の人々が出入りしている。ここに保健所が移設され、さらに母子を対象とする子育て支援の保健センターが入居すれば、感染症がこの場所を経由して広範囲に拡大する危険性が極めて高くなる。なぜ、このような保健所設置場所としては非常識な所に、あえて保健所を移管しようとするのか。
(5) 中核市移行を前提として、この新庁舎設計費用の増額を採決しようとしているが、そもそも、中核市移行については議題として議会でまともに議論されたことがない。また、市民への説明も極めて不十分である。市長は市執行部のみで中核市移行を進めようとしており、議会と市民を極めて軽視している。市長の執行権の濫用である。市長は中核市移行問題について議会での討論をはかり、市民にもていねいにその意義を説明すべきである。
同じく反対討論に立った角谷議員は、十年前に周辺町村と合併して特例市となったが、この合併に対する市民の評価が極めて低いこと、それなのになぜ、さらに中核市を目指すのかという点を指摘。また、保健所の駅南庁舎移設に関するメリット、デメリットが不明である点を指摘されました。
賛成討論の西村議員と雲坂議員は、いずれも中核市になることで鳥取市が発展すると強調したが、抽象的な内容に終始し中核市になることのメリットに関する具体的な説明は皆無であった。また、「合併特例債という有利な制度(?)」は期限があるのだから市庁舎新築移転を早く進めなければならないとの主張でした。筆者は、合併特例債を使うことが市の財政にとって本当に有利なのか極めて疑問に思っており、この点については今後の記事で詳しく検証する予定です。
・採決結果
討論後に起立による採決が行なわれ、その結果は次のようになりました。
「議案第102号」 保健所の駅南庁舎への移設と新市庁舎増床に伴う、建設費の約33億円増加を前提とした設計費増額に関する補正予算案に賛成した議員
「新生」 :上杉栄一 、下村佳弘、山田延孝、岡田信俊、星見健蔵、金谷洋治、西村紳一郎、横山明、寺坂寛夫、魚埼勇、
吉野恭介、砂田典男、雲坂衡、房安光
「公明党」:桑田達也、平野真理子、石田憲太郎、前田伸一、田村繁巳
「市民フォーラム」:長坂則翁、秋山智弘
「無所属」:吉田博幸、足立孝史
上記補正予算案に反対した議員
「結」 :上田孝春、橋尾泰博、勝田鮮二、米村京子
「共産党」:伊藤幾子、岩永安子、角谷敏男
「無所属」:椋田昇一、太田縁
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・深澤市長、6/22の市議会本会議の一般質問答弁で「駅南庁舎に移設される保健所には、感染症患者は訪れない」と明言。では、エイズ感染の疑いがある人は、いったいどこで検査を受けるのか?保健所しかないでしょう!!(2015.6.23)
新庁舎建設費の問題に続いて、またしても深澤市長が「真っ赤なウソ」の疑惑が極めて高い発言をやってくれました。しかも市議会本会議という、虚偽の発言が絶対にあってはならない公式の場においてです。
現在開催中の六月定例議会において、昨日6/22の一般質問で米村京子議員は、「MERSなどの感染症の患者が、鳥取駅に近い駅南庁舎に設置される保健所を訪れるのはたいへん危険ではないのか?」という指摘を行いました。この質問に対して深澤市長自らが答弁に立ち、「感染症の方が直接に保健所を訪れることはない。電話相談を受けるのみです。」と明確に回答。しかし、この発言は、明らかに完全なウソです。
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質問する米村議員 答弁に立つ深澤市長
現在、鳥取保健所は市内江津の県立中央病院の敷地内にありますが、保健所内部の診察室では、日常的にエイズ、性感染症、肝炎ウィルス、風疹の検査を行なっています。「自分は感染したかも知れない」との自覚のある人が保健所を訪れて検査を受けることで、初めて感染しているかどうかが判明するのです。電話での相談だけで感染の有無を判定することは到底不可能。鳥取保健所では、各種感染症に感染している確率が高い人たちが、現在も保健所の日常業務の一環としての診察を受けているのです。
鳥取保健所がエイズ検診を呼びかけているサイトを右に示します。 「エイズ 検査、相談は?」
また、エイズの検査が受けられる医療機関の検索サイトを右に示します。「HIV検査相談マップ」
このサイトの検索条件の都道府県の欄に「鳥取県」と入力して検索すると、鳥取、倉吉、米子の三保健所しか出て来ません。つまり、鳥取県内では、保健所以外の医療機関ではエイズの検査はできません。このサイトを使って近隣の県を調べて見ても、保健所以外のエイズ診察可能な医療機関は、兵庫県は27カ所中1カ所、岡山県は12カ所中1カ所、島根県は8カ所中0カ所です。それ以外は、全て保健所がエイズの診察推奨機関となっています。
厚生労働省の指針によれば、エイズ感染の自覚症状のある人は、自分の居住する自治体以外にも、全国どこの保健所でも無料で受診できることになっています。エイズの早期撲滅を進めるための処置です。
このような病気にかかった可能性があると自分自身で自覚した場合、あちこちに顔見知りがいる自分の街の中で検診を受けたいと思う人はごく少ないでしょう。仮に鳥取駅に極めて近い駅南庁舎に保健所が設置された場合、その交通利便性を利用するのは市内在住者ではなく、他市、他府県からのエイズ検診受診者が大半となる可能性があります。市内在住者にしてみれば、いつ知人に会うかも知れない駅前の繁華街を通ってまでして、駅南庁舎でのエイズ検診を受けようとする気力は、なかなか起きないでしょう。その結果、市内在住者のエイズ検診受診率・早期発見率が急激に低下する事態となることが予想されます。
では、保健所が鳥取市に移設された後でも、エイズ等の感染症検査だけは県が引き続き今の場所で担当するというような体制は可能なのでしょうか?(そんな虫のいい話は、当然、県が拒否するでしょうが・・。)
厚生労働省は最新のエイズ対策として次の指針を出しています。なお、「後天性免疫不全症候群」とはエイズ、またはHIVの日本語での正式名称です。
「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」
(次のサイトの第一章 法令通知集の最後から二番目の所にあります。 「エイズ対策関係法令」)
この指針を引用すると、エイズ対策の基本体制としては、「・・保健所等における検査・相談体制の充実を基本とし、予防対策を重点的かつ計画的に進めていくことが重要である。・・保健所をこれらの対策の中核として位置付けるとともに、所管地域の発生動向を正確に把握できるよう、その機能が強化されることが重要である。・・」と記載されてあります。
要するに、国は保健所をエイズ対策の中枢として位置づけており、各地の保健所はその検査・相談の場となることが義務づけられています。鳥取市だけが例外となることなど、まずありえないことです。市が保健所を引き受ける以上、エイズ等の検査も引き受けなければなりません。
保健所で実施している検査の対象となるエイズ以外のその他の感染症も、決して軽視することはできません。特に飛沫感染する風疹は、インフルエンザよりも感染力が強いと言われています。さらに妊娠中の女性が風疹に感染した場合、赤ちゃんに障害か発生する危険性が以前から指摘されています。(ストップ風疹 赤ちゃんを守れ)
妊婦・乳幼児が頻繁に出入りする保健センターと風疹の診療所を同じ建物内に設けるなどと言うのは、感染症の防疫面から見れば、とんでもない計画です。
それにしても、調べればすぐにバレルようなウソを、こともあろうに市議会の場で、ヌケヌケと平然と言える深澤市長の人格には、本当にあきれ果てるという以外に形容する言葉が見つかりません。こんな人が鳥取市の代表者であるというのは実に恥ずかしい話です。今後は彼の発言の全てについて、最初からその真偽を疑ってかかることが必要であると思います。
深澤氏は明日にでも、「保健所がエイズ検査をしていることは、自分は知らなかった」と発言を訂正するのかもしれません。しかし、保健所移管計画の最高責任者が、重要な事項をこの時期になっても知らなかったでは到底済まされません。保健所移管に関する県と市の打合せはすでに何回も持たれており、その場でエイズ検査の問題は重要議題として真っ先に議論されているはずです。深澤氏は、当然そのことを承知している一方で、市民の代表である議員に対しては「駅南庁舎に感染者が来ることはない」とのウソをついたのです。
ところで、行政側から提供された虚偽の情報を根拠として自治体議会でいったん採決された予算案は、住民側による行政訴訟を経て、裁判所によってその正統性が無効とされた判例がすでに存在しています。(「議会に対し嘘の説明で議決すると、地方自治法第211条2項により、予算執行は無効になる・・・」)深澤市長のついたこの保健所業務に関するウソは、市長自らが自分自身の墓穴を掘った行為と言ってもいいでしょう。
もう一つ、深澤市長がついた重大なウソがあります。昨年12月議会で、深澤市長は秋山議員の質問に対して、「市民の皆様に、建設に伴って新たな負担をお願いすることなく、市庁舎整備を進めていくことができると考えております」と説明して位置条例の採決に臨み、その結果として位置条例は賛成多数で可決されました。しかし最近になって市長は、「実は65.6億円ではできないことが判明し、その1.5倍の98.4億円かかることになりました」と主張し始めました。
この昨年12月議会に提出した位置条例の採決の前提となる建設費用65.6億円は、当時の消費税と建設費用の実勢に照らして虚偽説明であったことは明らかです。市自身が最近作成した資料によると、消費税のアップと建設資材・労務費の高騰を考慮すれば、平成25年11月に市が全体構想素案で説明した建設費用65.6億円は、この位置条例を採決した平成26年12月時点では、当初の約1割増しの72.2億円に増加していたはずです。市長は、建設費用をこの金額に改訂し市議会に再度提示する義務がありました(4/27特別委での市提供資料に拠る。その資料一部をこのページの下の2015.5.2記事「新庁舎建設費用は百億円超に大幅アップ!?」に掲載しています。)。
しかし、市長と庁舎整備局は、保健所の駅南庁舎への移設という後付けの理由に伴う約26億円の増額を除いても、当時すでに市自身が把握していたこの約7億円の増加分を全く市議会に説明することなく位置条例の採決を強行しました。昨年12月の市議会において市長の行なった建設費用の説明に虚偽があったことは明らかです。
・中国四国地方の主要都市の各保健所と主要駅との間の距離
昨日の一般質問の中では、米村議員が各主要都市の保健所と主要駅との間の距離についても言及されました。「鳥取駅と駅南庁舎の間の直線距離は0.15km。これに対して、中四国地方の主要都市の中で駅と保健所の距離が一番近い徳島市の場合でも、その距離は1.0kmはある」との発言でした。同議員からこれらのデータを提供していただきましたので、以下に公開します。
最も駅との距離が近い徳島保健所でも、駅から1kmは離れています。これを見ると、駅南庁舎に保健所を入れると言う今回の市の提案が、いかに他都市が守っている防疫面での水準からかけ離れた、非常識なものであるかがよく判ります。
深澤市長は市民の安全と安心を守ることよりも、見えすいたウソをついてまでして、当初の建設計画よりも約30億円も多額のカネを使うことの方を優先しているのです。最近になって突然出てきた保健所の駅南庁舎への移管計画とは、国と我々から集めた税金をより多く使うことによって、深澤市長の背後にいる勢力に対する事業金額に比例した利益還元(リベート)を少しでも多く増やすための口実でしかないものと推測しています。
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追記:米村議員と市長との間の議論の詳細な内容を知りたい方は、当会のメールアドレス(このページの一番上のタイトルの下)宛てにその旨ご連絡ください。
・6/17の「新庁舎建設に関する調査特別委」を傍聴。あらためて感じるのは、「議員の役割は何か?」ということ。(2015.6.20)
6/17に開催された特別委を傍聴。これで六回連続してこの委員会を傍聴しましたが、あらためて感じるのは、大多数の議員はその本来の役割を果たしていないということです。
この日の討議内容は本議会に提出する中間報告の取りまとめでした。報告書に入れる文言をめぐって延々とやり取りが続きましたが、その中で明らかになったのは、執行部が新たに打ち出してきた建設費用98.4億円の計画の骨子である保健所の駅南庁舎への移転という重要な問題が、未だに市議会のどこの委員会でも、まともに議題として取り上げられていないことです。
伊藤議員の質問と、それに回答した田中節哉中核市推進監によると、保健所の位置決定と議会への説明は次のような経過で行なわれたとのことです。いずれも執行部からの報告のみで、議員間での討論はなされていない。
3/17 保健所実施有識者委員会が提言(具体的な場所の記載は無し)
4/3 執行部が移設場所を駅南庁舎に決定
4/14 新庁舎調査特別委で執行部が報告(口頭説明。この委員会の討議議題でないとのことで報告のみ)
5/26 総務企画委員会で執行部が報告(口頭説明のみ、資料無し)
6/11 福祉保健委員会で執行部が報告(この段階でようやく駅南庁舎と他の施設を比較する資料が出てきたが、A4一枚のみ)
この伊藤議員の指摘に対して、会派「新生」の下村議員がさっそく反論。総務企画委員会にも所属している下村議員は、5/26執行部の説明によって、「駅南庁舎への移設が費用対効果の点で優れていると理解した」そうです。
下村議員の頭脳は極めて優秀なのかもしれないが、資料も無い口頭説明だけで、ただちにその優劣を理解できるものでしょうか?そもそも、保健所移設の費用対効果を判定する前提となる、統合された保健所に4000m2のスペースが必要であることを具体的に説明する資料は、いまだに執行部から出てきていないのです。また、保健所を他の施設と統合して得られるメリットも具体的な説明を欠いています。さらに、同議員の発言の端々に、「もう決まったことだから・・」という言葉が含まれているのが非常に気になりました。各委員会と本会議での議論を経た後に本会議場で採決して賛成多数にならない限り、何もまだ決まっていないのです。
もう一人の議員の発言も取り上げてみましょう。公明党の桑田議員。この議員も、特に市庁舎問題に関しては、執行部の提案に真っ先に賛成することで有名です。彼は、この日の委員会の中ではさかんに「駅南庁舎に保健所その他を集約することで利便性が増し、ワンストップサービスが実現できる」と強調していました。でも、保健所と子育て支援施設、産廃や飲食店などの衛生面の許認可機関を統合して、具体的にどんな利便性が増すのでしょうか?複数の目的を持って保健所を訪れる人が、一体どれだけいるのでしょうか?思いつく例を下に少し挙げてみました。
例1 「出産相談に来た妊婦が、エイズやMERSが心配になり、ついでにその検診も受ける」
例2 「飲食店開設の申請に訪れた人が、ついでにペットの犬の処分も申請」
例3 「産廃処分の許認可を得るために来所した人が、ついでに家族の精神障害について相談する」
各例の後半部のような行動は、人の眼を避けて人目に付かない場所で行いたいというのが普通の市民感情でしょう。各種施設の統合は、むしろ市民にとってはデメリットになることが多いと思います。
あえてこのような複数目的の行動を取りたい人がわずかながらいるとしても、これらのまれなケースに対応するために保健所その他を駅南庁舎に統合した結果、新庁舎の建設費が約30億円膨らむのだとすれば、これは費用対効果としては最悪の例でしょう。桑田氏には、美辞麗句をちりばめたいつもの抽象的な発言だけで終わるのではなく、約30億円もの建設費を増大させた結果として市民が得るであろう保健所のワンストップサービスの効果について、具体的な例を挙げて市民にわかりやすく説明していただきたいものです。
執行部からの口頭説明だけで保健所を駅南庁舎に移設することの費用対効果を直ちに理解したと言う下村議員にも、駅南庁舎に移転することで市民にもたらすメリットを具体的に説明していただきたい。この移設の結果、新市庁舎の建設費用は約30億円増えるが、その移設のもたらす効果は具体的にはいったい何でしょうか?公開の場である市議会特別委で大見得を切った以上は、具体的な費用対効果の例を挙げて市民に対し説明することが、下村氏に課せられた最低限の義務です。
また、この日、桑田氏は、伊藤議員と米村議員に対して、「お前たちは中核市移行に反対するのか?」と半ば恫喝(どうかつ)めいた質問を繰り返していました。後日、別の記事として取り上げる予定ですが、中核市移行についてもいまだに執行部からの報告・説明があるのみで、議会ではまともに議論されていません。中核市移行のメリットが市民に十分に理解されていない現状で、「中核市移行に反対する人間を敵視」するような同氏の態度は非常に問題です。
日本の自治体は二元代表制です。首長だけでなく議員も選挙で選ぶのは、とかく権力が集中しがちである首長の行政内容を、市民の代表である議員がしっかりと監視するためです。しかし、鳥取市の場合、現在はこの市議会の監視機能が全く働いていません。上に紹介した下村議員、桑田議員のように、執行部の提案に直ちにもろ手をあげて賛成するような議員が今の鳥取市議会を主導しているのです。この特別委の議論を聞いている限り、会派「新生」、公明党、会派「市民フォーラム」の三会派は、執行部の新庁舎建設費増額案に賛成しているようです。(鳥取市議会 会派別議員名簿)
なお、会派「市民フォーラム」は、昨年十二月の位置条例採決時に自らの公約を裏切って新築移転賛成に回ったあの秋山議員と、元々から賛成していた長坂議員の二人が最近立ち上げた会派です。(従来は二人とも無所属)
鳥取市の市議会議員の給与は月額47.5万円です。期末手当を含めると、年に783.5万円も支給されています。しかも、昨年の議会開催日数は一年間に90日、各委員会への出席を含めても議会への出席義務は百日ちょっとしかありません。おまけに議員の副業も認められています。
このように議員が待遇面で優遇されているのは、首長の行政内容をムダ遣いをさせないようにきびしく監視することが期待されているためです。市長が新市庁舎建設に巨額のカネをムダにつぎ込んでいるのを黙って傍観している議員には、議員報酬を受け取る資格はありません。何の調査も勉強もせず、一般質問の際にはどこかの新聞記事をコピーしてあたりさわりのない事だけを発言し、採決時には執行部の原案に何でも賛成というナマケモノ議員でも、年に約100日働いただけで、我々が収めた税金の中から年に約800万円もの報酬を受け取れるのです。一度議員をやったら絶対にやめられないということだけは、よく理解できます。
さらに、下村議員や桑田議員のように、市長がムダにカネを使うのを積極的に応援しているような議員には、むしろ、「今までに支給された議員報酬全額を市民に対して返却せよ!」と言いたくもなります。特別委を毎回傍聴していて、市長にムダ遣いをさせまいと行政の監視役としてしっかり働いていると思える議員は、伊藤議員、米村議員の女性議員二名だけです。
市民の皆さん!自分の地区から選出している市会議員に、この新市庁舎建設費用問題についてどう考えているのか問いかけてみてください。この問題を傍観し、執行部の原案通りに賛成しているような議員には、議員としての資格が欠けていることは明白です。
/以上
・当会から提出していた公開質問状に対する深澤市長からの回答を公開します。(2015.6.11掲載、6.28 会コメントを追記)
5.28に市長あてに提出していた「新庁舎建設計画に関する公開質問状」に対する回答が6/9に届きました。その内容を以下に示します。「公開質問状に対する市長の回答(PDF)」
また、この質問と回答をまとめた表を作りましたので、参考としてください。「公開質問状 質問と回答の概要(PDF)」
さらに、この市長回答に対する当「開かれた市政をつくる市民の会」のコメントを下に示します。
「市長回答に対するコメント(PDF)」
予想した通りですが、市長は当方の質問に対して、ほとんどまともに回答していません。質問の内容をすり替えて勝手に回答している例が非常に多い。唯一、駅南庁舎に移管する予定とした鳥取保健所の人数と面積については、詳しく記載しています。この保健所移管の問題についても、市長は「保健所実施有識者委員会」の提言を受けて駅南庁舎に入れることに決定したと回答しています。しかし、この委員会の提言には具体的な設置場所に付いては一言も述べられていません。駅南庁舎に保健所を入れることを決めたのは、あくまで市長以下の市執行部です。また、この有識者委員会自体、今年二月に結成して一か月後には提言をまとめるという、お役所にしては異常に速い日程で仕事をしています。実際には執行部が決めていながら、委員会の提言で決めたように見せるためのアリバイ作りに忙しかったことは明らかです。(委員会設置要綱等の資料、後半に保健所移管に関する資料も含んでいます。)
現在の市庁舎問題の論点は、要約すると以下の三点に絞られると思います。
(1)深澤市長には、市民に対する誠意と説明責任が大きく欠落していること
昨年12月の市議会で新築移転を決定した位置条例の採決に先立って、「市民に新たな負担はかけない」と議場で明言しておきながら、その半年後にはヌケヌケと「建設費用は以前の説明の1.5倍になります」と平気で言えるような人物、このような人物の説明を今後三年間も信用し続けられるものなのか?今回の質問状の回答に見られるように、深澤市長は質問をはぐらかすことばかりに熱心で、市民の質問に正面から答えようとする意志が全く見えない。
(2)なぜ鳥取市は中核市に移行するのか、その必要はあるのか?
中核市に移行する必要性が不明確。中核市になることで市民の負担が増すのであれば、移行する必要はない。
ちなみに、中核市とはそもそも都道府県の仕事が大規模都市に委譲されることが主目的であり、「市内に県庁がある県庁所在地の自治体や、都府県庁がすでに出先機関を置いている場合が多い三大都市圏内の人口の多い自治体は中核市・特例市となる動機が弱い。」との説明がある。(wikipedia 「中核市」)このサイトによれば、現在、中核市に移行する資格のある県庁所在地は全国で10市あるが、そのうちの山形市、福井市、甲府市など5市は、現状では中核市に移行する計画を持っていないとのこと。中核市になる資格のある市の中で人口最小の鳥取市が、県と市の二重行政の無駄を省きつつ、うまく運営できるのだろうか。
さらに、誰に聞いても「県は情報公開が進んでいるが、鳥取市はこの面では、県よりもはるかに遅れている」とのことである。仮に、保健所業務を市が管轄することになったとして、市内に重大な伝染病が発生した場合、鳥取市は自分に不利な情報を隠すことは絶対にないと言い切れるだろうか?情報公開が進んでいると言われる県に保健業務を引き続き担当してもらったほうが、市民は安心なのではないか。
(3)仮に保健所が市に移管になるとしても、なぜ保健所と子育て機能とを統合して駅南庁舎に入れようとするのか?
保健所の管轄として、身体・精神障碍者への対応、広域伝染病への対処等がある。今、韓国でMERSが流行中であり、多数の死者が出ている。いつ日本国内でも発生しないとも限らない。仮に患者の疑いがある人が市内で発生した場合、駅南庁舎で診察を受ける事態も想定される。伝染病患者の診察場所が、妊産婦や乳幼児が多数訪れる建物の中にあるということは、到底あってはならないことである。まして、駅南庁舎は鳥取駅が目の前にあり、感染した疑いのある人がJRやバスに乗って受診にやってくるには、大変都合がよい。不特定多数の人に対する感染リスクが極めて大きくなる。
国境を越えた人の移動が頻繁な現在、世界各地から様々な伝染病が県内に入ってくる危険性が増大している。保健所の診察機能は患者を即時隔離可能な場所に設けるのがベストであり、今の県立中央病院のそばに引き続き置いておくのがよいと思う。この点について強く再考を求める。
/以上
・5/28に深澤市長宛てに「新庁舎建設計画に関する公開質問状」を提出しました。
(2015.5.30)
市民に約束していた建設費用が大幅に膨らむなど、数多くの不透明な内容が含まれている市公表の「みんなでつくる鳥取市庁舎の考え方」に対して、当「開かれた市政をつくる市民の会」は5/28に公開質問状を提出しました。この問題に対する深澤市長の市民への説明責任をどう考えているのかという点も含めて、全部で16項目の質問に対する回答をお願いしています。
当方の希望する回答期限は6/5(金)、深澤市長には速やかな御回答を期待したいと思います。回答が得られた段階で、改めてこのホームページ上でその内容を公開する予定です。
今回提出した公開質問状の全文は次の通りです。
「新庁舎建設計画に関する公開質問状(PDF)」
なお、現在、鳥取市では6/15までの予定で「新庁舎建設に関する市民政策コメント」(パブリックコメント)を募集中です。この機会に、今までの不透明な進め方に対する抗議の意味も含めて、市執行部に対して一通でも多くのコメントを届けましょう!次のサイトからコメントを送れます。
「市民政策コメントを募集しています!」
そもそも、「みんなでつくる鳥取市庁舎の考え方」というタイトルの「みんな」という言葉自体がおかしい。住民投票結果をひっくり返して強引に新築移転を進めてきた今までの経過を見る限り、この「みんな」とは「市執行部のみんな」、あるいは「新庁舎新築で利益を得るみんな」のことであって、「鳥取市民のみんな」という意味では断じてないと思います。
(/以上)
・「第八回 新庁舎建設に関する調査特別委」が5/25(月)に開催されました。
位置条例に賛成した「会派新生」と公明党までもが、建設費用増大を疑問視!
各会派からの質問に対する市執行部の回答は、次回6/5(金)の調査特別委で
公表される予定。(2015.5.27)
5/25(月)に「第八回 新庁舎建設に関する調査特別委」が開催され傍聴しました。今回の内容は、先回発表された「みんなでつくる鳥取市庁舎の考え方」(以下、資料@)の内容に対する市議会各会派の意見と疑問点の指摘の表明にとどまり、市執行部側からの回答は次回に持ち越しとなりました。
各会派の意見の中で注目されたのは、去年の12月定例市議会で賛成多数で採決された、市庁舎新築移転を決定した「位置条例」に賛成した「会派新生」と公明党までもが、建設費用の抑制を公然と主張し始めたことです。特に「会派新生」の下村議員の発言、「中核市になって保健所が市に移管されることで費用が増大するのなら、逆に、鳥取市が中核市になるメリットはどこにあるのか?」という発言は、今まで市執行部の方針に一貫して追随してきた同会派としては一歩踏み込んだ内容であり、大いに注目されました。市長が半年前に約束していた金額よりも建設費用が五割増しにもなるという執行部のやりたい放題の進め方に対して、同会派支持者からの突き上げがかなりあったものと推測します。
市民の皆さん! 先の市議選で自分の投票した市会議員に対して「こんなムチャクチャなやり方を、文句も言わずにそのまま認めていいのか!」と電話等で圧力をかけてください。多くの市会議員の態度を変えさせることが出来れば、この建設費用の大幅アップは必ず阻止できます。
今回の特別委では、従来から住民投票結果を尊重し現本庁舎の耐震改修を進めるべきと主張してきた会派「結(ゆい)」の米村議員と共産党の伊藤議員からは、執行部案に対して数多くの問題点の指摘がありました。次回の特別委では、執行部がこれらの指摘に対して少しは真摯に回答しようとするのか、従来のノラリクラリとしたソノ場しのぎの対応を今後も続けるのか、大いに注目されます。
参考資料(1)−保健所移管問題−
なお、執行部が新庁舎増床の理由として持ち出してきた鳥取保健所の市への移管問題ですが、既に病棟新築工事を開始した県立中央病院の当初の計画では、鳥取保健所が入っている病院敷地内にある二階建ての東部福祉保健事務所の建物は、工事完了予定の平成32(2020)年度以降も現在のまま維持される予定となっています。(詳しくは、新鳥取県立中央病院建替整備基本計画(PDF)
のP14 「配置計画図」を参照のこと)
市執行部の説明によると、鳥取市の中核市への移行は平成30(2018)年度、新市庁舎完成予定は平成31(2019)年度末です。執行部の説明どおりに新庁舎完成後に駅南庁舎に保健所が移設されるとしても、それまでの約一年間はおそらく現在の建物で保健所業務を続けることになるでしょう。それならば、当サイトの先回の記事でも指摘したように、保健所は現在の建物内で将来も業務を続け、市が県に対して事務所の貸借費用を払えば済む話です。
仮に人口約19万人の鳥取市に関係する保健業務がこの建物から外部に出て行った場合、後に残された岩美、八頭、智頭、若桜の四町の合計人口約4万人に関する業務量はごくわずかでしかない。この県所有の建物はほぼ空き家同然となり、その分、県民の財産が使われずに眠ってしまうことになる。さらに、病気も災害も市町村境界を越えて容易に拡がり得る現在、市と周辺四町の事務所の距離を大きく切り離してしまって、共同で防疫・防災対策がスムーズに立てられるのか大いに疑問である。広域的行政の視点から見れば、鳥取市分の保健所業務だけを切り取ってよそに移しても良いことは何もない。まして、その事務所新設のために何十億円も使うなどと言うのは愚の骨頂と言うほかはない。
参考資料(2)−12月定例市議会議事録−
今回の市執行部が示した建設費用五割増しは、去年の12月24日に採決された位置条例の審議過程で深澤市長が説明した内容と完全に異なるものです。次の資料をご覧ください。これは、去年の12月定例市議会で、前月の市議選での公約を裏切って一転して新築移転の位置条例に賛成し、市庁舎問題のキーマンとなった秋山議員の市庁舎問題に関する一般質問に対する市長の回答をまとめたものです。元の資料は、市議会会議録から閲覧可能です。
「2014.12.19 12月定例会 秋山議員一般質問(PDF)」
この中で注目される発言には下線を引いておきました。その一部を紹介します。
@ 資材等の高騰の建設費への影響に関する質問に対する市長の回答:
「建設に係る経費が少し増嵩する、こういったことは可能性としてはあるというふうに考えております。・・」
辞書を見ると、増嵩とはお役所でよく使われる言葉で、「ぞうすう」と読むそうです。「予算や費用などの金額を増やすことを意味する表現」とあります。深澤市長の辞書には「『少し増嵩』とは五割増しを意味する。」と書いてあるのでしょうか?
A 関連事業費等、新たな負担が増えるのではないかとの質問に対する市長の回答:
「鳥取市のいろんな基金等も適切に活用しながら、限りなく市民の皆さんの負担を抑えていく、新たな負担が生じないように、そういったことに意を用いて行くべきだというふうに考えております。・・」
来月の市報には「みんなでつくるとっとり市庁舎の考え方」(資料@)の概要版の内容が掲載されるそうです。この中には、「庁舎整備のために計画的に積み立ててきた基金(45.5億円)でまかなうことができます・・」との説明があります。この基金とは「公共施設等整備基金」を意味していますが、この基金は本来は、図書館、公民館、学校、道路、公園等の整備に使うべきものです(公共施設等整備基金とは・・ 豊中市の説明より)。
今回、執行部が示した建設費用98.4億円のうちの、市の負担分は38.5億円(市の試算による)であり、基金45.5億円のほとんどを新市庁舎に使ってしまったら、学校や公民館を整備するための財源は数億円しか残りません。しかも、資料@によれば、市は新市庁舎建設が話題になり始めた平成22年度からこの基金を急速に積み上げて来ており、五年間で約37億円も増加させています。この増加分は今回公表された建設費用の中の市の負担分38.5億円にほぼ等しく、その目的が新市庁舎建設費用を蓄積することにあることは明白でしょう。しかも、位置条例採決時に示していた建設費用65.6億円の場合には、この基金はこんなには必要ありません。38.5億円の2/3の25.7億円でよいことになります。この基金が現在45.5億円もあるということは、かなり以前から、建設費用が約百億円程度になることを想定して積み増ししてきたことをうかがわせます。
市長は再三にわたって「市民に新たな負担をお願いすることはありません」と言っています。この表現はまったく正しくありません。市長の言葉を正しく翻訳すれば、「新たな負担」ではなく、「今まで隠れて市民に課してきた負担」で彼らがため込んだこの45.5億円の基金を、使う機会がようやく訪れたと言っているだけのことなのです。彼らはこの約五年間、本来は市民のための福祉や教育、市民サービス、雇用確保等のために使うべきであった費用を削り、新市庁舎建設のための基金としてため込んで来ました。彼らのもくろみ通りに、新庁舎建設にこの基金を使わせてはなりません。この基金は、本来の目的である学校等の公共施設整備のために使うべきです。あるいは、一般会計に戻して、本来使われるはずであった福祉や医療の補助、市民サービスの向上などに使っても良いと思います。
さて、今回の建設費用五割増しの問題に対して、真っ先に激怒するべきなのは、当然ですが秋山議員です。彼は12月定例市議会での深澤市長の説明に納得し、自らの支持者と公約を裏切ってまでして、新築移転に賛成したのですから。今回建設費用の大幅な増額が公表され市長の説明が完全なウソと分かった時点で、彼は市長室に怒鳴り込むべきであったと思います。
しかし、秋山議員が実際に市長室に怒鳴り込んだという噂は絶えて聞きません。筆者が目撃した例としては、5/25の特別委が終了しようとする数分前に傍聴席に突然現れ、特別委が終了するや否や風のように去って行った彼の姿だけです。
秋山議員は一般質問の中で、「私自身も議員の立場をかけてでもこの問題に結論を出したい、あらわしたいと思っております」と発言されました。今こそ議員生命をかけて、深澤市長に激しく、かつ執ように抗議されることを、秋山氏に強く期待するものです。
(/以上)
・新庁舎建設費用、98.4億円を想定と市が発表! 市民をナメルな!!!(2015.5.16)
5/14に市議会調査特別委が開催され傍聴に行きました。この場で市は新市庁舎の建設費用の想定額を発表、予想通り98.4億円と、当初案65.6億円のちょうど1.5倍の金額を出してきました。なお、当日の資料は、市議会のサイトの中の左下にある、「お知らせ」の中の「第七回新庁舎建設に関する調査特別委員会の配布資料を掲載しました(2015/5/14)」をクリックすれば、ダウンロードできます。
この資料の内容に対する批判は、今後詳しく展開していく予定です。当日の市側の説明と各委員の討論を傍聴した感想を手短にまとめると、次のようになります。
(1)中核市移行に伴い、鳥取市の分の保健所業務が県から移管されるので、新市庁舎の面積を5600m2増やす必要があるとしているが、その必要性を全く説明していない。
すでに、下の5/2付けの記事で触れているが、鳥取市江津の県立病院に隣接している現在の鳥取保健所の事務スペースはせいぜい数百m2であり、これで東部全域を担当している。町村部を除いた鳥取市の分はさらに狭い。ちなみに、市自身の説明によれば、県から市に移管される保健所の人員はたったの17名に過ぎない。
さらに、県から市へと業務を移管されるからと言っても、そのためにわざわざ、その業務のための建物を市が新築しなければならない必然性は何もない。亀屋整備局長からその必要性に関する説明があるのかと思っていたが、何もなかった。彼はただ、「保健所が来るから面積を広くします。」と繰り返すばかりであった。
例えば、鳥取市分も今の東部全域を担当する鳥取保健所の中にそのまま置いておき、鳥取市分の事務スペースに相当する賃貸料を県に払えば、この問題はそれで終わる話だろう。隣接する町村から鳥取市分だけを切り離し、さらに、近くに大きな病院も医療施設も無い駅南庁舎に保健所だけを持ってきたら、広域行政面でも、利用者に対する医療サービスにおいても、利便性がかえって失われるだけではないか?要するに、カネをたくさん使うための方便として、保健所の移管を持ち出しているに過ぎないのである。
今の保健所が入っている建物は県の所有であるが、その建物の中で大きな面積を占める鳥取市分を引き抜いて空きスペースを作って、その後いったいどうするつもりなのか?県の建物であるということは、県民の税金、即ち鳥取市民の税金も使って運営されているのである。我々が毎年苦労して納める税金を使って建設し、その税金で運営している建物を空き家にしておいて、さらに我々の税金を使ってその業務スペースを別の場所に新築するというのは、誰が見ても正真正銘の典型的な「二重投資」である。
ちょうど明日、大阪市で「二重行政と二重投資の解消によるムダの削減」を争点にして「大阪都構想」の住民投票が行われるが、我が鳥取市では、市長と庁舎整備局長が臆面も無く堂々と、「市が県とは別に、あらためて保健所用の建物を新築するという(ムダな)二重投資が絶対に必要です!」と声高に叫んでいるのである。
(2)建物のライフサイクルコストと、市の将来財政の見通しはどうなっているのか?
平成25(2013)年11月に公表した全体構想(素案)では、市執行部は、建物のの維持管理も含めたライフサイクルコストにおいて、現在進行中の案である旧市立病院跡地への新築移転である整備案@が、最も市民負担が少ないと主張していた。しかし、今回公表した資料では、ライフサイクルコストについては一言も触れていない。当然のことだが、市長と庁舎整備局には、将来負担がいくらになるのか再試算して公表する責任がある。
さらに、市の財政状況については、過去の財政状況のみが記載されているだけで、肝心な今後の財政計画が全く載っていない。市庁舎新築にたくさんカネを使っても財政的には問題が無いと言うのなら、市の今後の財政計画を載せるのが当然であろう。
また、この資料の中では、建設費用の市負担分38.5億円の財源の説明で、「現在、基金(公共施設等整備基金)が約45.5億円あることから、新たな負担が発生することなく事業が出来ます。」と書いてあるが、まったくもって言語同断である!
公共施設等整備基金とは本来、公共施設等の整備を図るために積み立てられる基金であり、図書館、公民館、学校、道路、公園などの公共施設に活用されるべきものである。要するに、鳥取市は「基金の大半を市庁舎新築に使うので、これからは、学校や道路、図書館や公民館に回すカネの余裕はほとんど無くなります。」と言っているのである!
腹の底から「市民をバカにするな!」と言いたい。その一方で、市は最近では、「公共施設を維持する費用が無いから、公民館等の公共施設を今後は減らしたい。御協力をお願いします。」と言い始めている。誰が協力するものか!!
(3)半年前までは、「新たな負担をお願いすることはありません」と市民に対して固く約束していた深澤市長と亀屋整備局長の責任は、いったい、どうなっているのか?
約半年前の位置条例の可決の時点まで、市内には右の資料が公然と出回っていた。しかし、今回の市の説明によると、市の直接負担はさらに38.5億円まで膨らむ予定となってしまった。
今から半年前の時点で、その二、三年前に比べて建設単価が何十%も高騰していたことは、少なくとも新聞やテレビニュースを毎日見ている市民にとっては当たり前の常識であった。庁舎整備局がそのことを知らないはずはない。
それにもかかわらず、彼らはその一年以上も前に公表した建設費用を安く見せかけようとして、何の修正も情報提供もしないままに、半年前に極めて重要な位置条例の採決に臨んだ。
今になってから、「建設費が高騰したので、費用が膨らむことが判明しました」などと言いだすのは、本当に市民をバカにした行為である!一般の市民社会の常識からすれば、恥を知らない行為と呼んで当然である。
「約十億円もの新たな追加の負担をお願いする」ことになった市長と局長は、今までに市民に対して十分な説明をして来たのだろうか?到底、そのようには思えない。市民とその代表である市会議員に対して、適切な情報を与えることもなく位置条例の採決を強行した彼らの責任は、極めて重い。
/以上
・新庁舎建設費用は百億円超に大幅アップ!?(2015.5.2)
「新庁舎の建設費用は、以前公表していた予定費用65.6億円よりも高くなる見込み」との情報が、庁舎整備局から今月になって何度も流されるようになってきました。いよいよ、以前から予想されていた通りの展開になってきました。
4/27に市議会調査特別委で市側から建設費に関する説明があるとのことだったので、久しぶりに傍聴しに行きました。以下、概要を報告します。
冒頭、庁舎整備局の藏増祐子次長より想定建設単価についての説明がありました。それによると、国交省の示す新営予算単価は平成24〜25年度を底として、以降は資材と労務費の高騰によってアップしているとのこと。全体構想(素案)を公表した平成25年度には、市自身が想定する庁舎建設単価は32.5万円/m2であったが、これが平成26年度には34.7/m2万円、平成27年度には38.3/m2万円となった。入札予定の平成29年度までこの価格水準が続き、かつ同年四月に消費税が10%にアップすることを考慮すると、建設単価(=設計単価+消費税)は平成25年度で想定した34.1万円/m2が、42.1万円/m2にアップするとのこと。
この建設単価と、先回の調査特別委で示された庁舎面積が17400m2から23000m2に増えるとの情報を元に、建設費用を再計算してみました。
(全体構想(素案)のp16の整備案@における建設費等の59.4億円を、この建設単価アップと増床比率をもとに再計算。
設計・その他費用の6.2億円については同一として、消費税の5%から10%へのアップの効果のみを計算。
59.4×(42.1÷34.1)×(23000÷17400)=96.9、 6.2×(1.10÷1.05)=6.5、 96.9+6.5=103.4 )
その結果は、全体構想(素案)で示された65.6億円が103.4億円へと大幅にアップします。実に約6割増し!
(1)市執行部は市民への説明責任をずっと放棄し続けて来た。
上の単価アップの話は、少し聞いただけでは、「工事費の高騰は時の流れでやむを得ないか」という感想を抱く人が多いかもしれません。
しかし、ちょっと待ってください。市執行部が全体構想(素案)を発表した平成25年11月には、すでに建設単価の高騰は大きな社会問題になっていました。
例えば次のサイト。平成25(2013)年7月のこの記事の末尾の方に、「・・例えば、広島県呉市の新庁舎建設計画は、入札が2度も中止となった揚げ句、予算を13億円もアップさせ3度目の入札を行おうとしている。・・」、とあります。この時点で既に、大震災の被災地にとどまらず西日本にも建設費高騰の波が押し寄せていたのです。当然、庁舎整備局はこの問題を十分に把握していたはずです。
「建設計画頓挫や再入札続出 、復興に足かせの資材費高騰」
今回、市が示した資料によると、市自身が想定する庁舎建設単価は、平成26年度には前年よりも6.8%も上がっています。この年の12月に、位置条例が市によって市議会に提案され可決されました。この位置条例の提案に際して市執行部は、資材の高騰等によって前年の11月に提示した建設費用65.6億円では到底足りないだろうという予測には一切触れませんでした。ちなみに、上の計算と同じ方法で平成26年度時点における予想建設費用を計算すると、71.7億円と約6億円もハネ上がります。仮に市執行部に普通の鳥取市民並みの誠実さがあったならば、位置条例提案時にこの数字も再提示していたことでしょう。
市民と市議会に適切な情報を提示した上で、十分な論議をお願いするというのが民主主義の根幹です。「自分たちに不利な情報はひたすら隠し続けて世論を誘導、事が決まってホトボリが収まった頃になってから、その情報をコマ切れに出して来る」というのが、今の鳥取市の執行部のやり方です。市民全体の利益のために奉仕するという公務員本来の職務を完全に放棄し、特定の人物や企業の利益のためにのみ奉仕している。実に、最低レベルの地方自治体幹部というほかはない。
もう一つゴマカシがあります。今回の市の資料を見て分かったのですが、従来提示されていた建設費用65.6億円は、消費税率5%で計算されています。この数字を含む全体構想(素案)は平成25年11月に公表されたのですが、この時点ですでに平成26年4月から消費税が8%に上がることが確定していました。
当時の市議会では、庁舎新築移転の位置条例が可決されることは不可能な情勢であり、具体的な設計も全く進んでおらず、消費税5%の残り約四か月の間に入札が実施されるはずもありません。当然、消費税8%を前提として計算すべきでした。この前提で計算すると、建設費用は67.5億円になります。実際は65.6億円よりも約2億円高いのに、ゴマカシて安く見せかけていたわけです。下に市が今回提示した資料の一部を示しておきます。
この例に見るように、深澤義彦市長と亀屋愛樹庁舎整備局長には、市民に対する誠意のカケラも無いことは明らかです。
(2)庁舎面積の増床も不可解、現時点での市の提案内容は、現状の床面積の約二倍弱!
現在までの庁舎面積案の変遷についてまとめてみました。下の図を見てください。
なんと、現時点で市が新たに提案している内容では、現在の庁舎面積の1.8倍以上にもなるのです!
新庁舎の完成目標は平成33(2020)年3月末以前(これよりも完成が伸びると合併特例債の対象にはならない)であるが、国の人口問題研究所の2013年時点での推計によると、鳥取市の2020年の推定人口は186,387人となり、今年2015年の人口よりも約六千人、約3%減るとされている。人口減に伴って職員数も減るハズなので、新庁舎が完成した時点で、市職員一人あたりの庁舎面積は現在の約二倍となる。なんとも優雅な、ゆとりのある職場環境となるのであろう。(ただし、その優雅な職場環境を心底満喫できるのは正職員だけだろう。現在、すでに市職員数の約半分を、正職員に比べて著しく給与が低い非正規職員が占めており、その数は毎年増加を続けているのである。)
市執行部は、中核市への移行に伴って、県の保健所を駅南庁舎に移設するために庁舎面積が増えると説明している。しかし、現在は市内の江津の中央病院敷地内にある鳥取保険所(県東部福祉保健事務所)の事務スペースの面積は、外形面積約1000m2の二階建て建物のワンフロアの、そのまた約半分を占めるに過ぎない。どう見ても数百m2である。5600m2も増床する理由には到底ならない。さらに、市に移管された部署は必ず新庁舎や駅南庁舎に持ってこなければならないというものではない。もしそうだとしたら、殺処分される犬や猫の保管場所までも駅南庁舎内に移設するのがスジである。
このような指摘をすると、市執行部は、さらにあっちやこっちから色々な施設を新庁舎に詰め込む予定であると言い出すのであろう。まことにキリがない。
市の公共施設白書によれば、市の所有する公共施設の面積は現在約90万m2にも達している。この施設を今後も維持し続けるためには、今後50年間にわたって毎年65.5億円を投入し続けなければならないと市自身が試算している。さらに市民一人あたりの公共施設面積は、全国981自治体の平均値に比べて36%も過剰となっている。いまさら新たに税金を投入して5600m2も増やして、いったい将来どうするつもりなのか?この市庁舎新築事業の内容は、市の他の事業の方針と完全に矛盾しているのである。この事業は何か特別な、いわくつきの事業であるらしい。
どうやら、深沢市長と亀屋局長は、背後の誰かから市庁舎整備に使うカネの達成目標が指示されているようである。そのノルマを最低限達成するために、彼らは増床するためのもっともらしい理由を、現在あれこれと考えている最中らしい。この二人は背後の黒幕の代理人でしかないのだろう。この市庁舎新築事業でカネをなるべく多く使うことが、彼ら二人に課せられた任務なのである。
(3)建設費用が増えることで、市民の将来負担は確実に増加。
いまだに「合併特例債を使って市庁舎を建てるから、大部分は国からのカネであり、市民負担はほとんどゼロ」と誤解している市民が多いようです。特に某政党の支持者にはそう信じている方が多数いると聞いています。その政党に所属する議員がそう説明して回っているからだとのウワサもあります。もしそのようなウワサが事実であるとすれば、その議員は完全にウソをついていることになります。
正しくは、この事業費の四割近くが鳥取市民の負担となるのです。一年半ほど前に「旧市民の会」のサイトに合併特例債を説明する資料を掲載しました。ここに再掲しますので参考としてください。
「合併特例債って何?」
・この資料で挙げた例では、100億円の事業費用の95%、95億円を合併特例債として市が金融機関から借金、金利1.7%、20年返済した時の利息総額は17.1億円になります。市の負担分は 当初費用の5億円、および返済元利合計の112.1億円のうちの三割に相当する33.6億円で、負担総額は38.6億円となります。事業費100億円の約39%を負担することになります。
・最近の他都市の発行市債(20年債)の利率を見ると、神戸、福岡が1.5%弱、札幌が1.3%弱と一年半前からあまり変わっていま
せん。将来、人口が急速に減ることが確実な鳥取市に対しては、これらの大都市よりも高い利率でないと、市債を引き受ける金融機関は出てこないでしょう。現時点でも利率1.7%での計算で妥当と思います。
・現在の低金利は、日銀による史上空前規模の金融緩和によるもの。経済界では、あと二年程度しかこの金融緩和を続けられないとの見方が一般的です。新庁舎建設が始まる2017年頃の金利は、現在よりも上昇している可能性が高い。つまり、市の負担金額は現時点での予想金額よりも上がる可能性が高い。
・この資料中の二カ所で県のサイトを引用していますが、これらのサイトは既に抹消されたようです。最近の県政は、片山前知事時代の良き遺産をつぶして回ることに忙しいように見えます。
・この資料の最後の方では、「・・・市庁舎新築移転計画は、あの駅前の「バード・ハット」の拡大版にほかならない。・・費用はあれの十倍程度にはなるだろう。・・」と述べています。やはり、この時の予想通りの展開となってきました。ちなみに、バートハットにかけた費用は、市の公表分の合計だけでも10.7億円です。
仮に、今回の市執行部の提案通りに、建設費用が65.6億円から103.4億円に増加したとしましょう。上の資料と同様に計算すると、市の負担は25.6億円から39.9億円と約14億円も増加します。その分、市の予算の中の国保や介護保険への補助分や雇用対策費用が削られることになります。各種手数料の値上げもあるでしょう。いい加減な内容の市庁舎増床計画を承認することで、今後の市民生活に影響があることは確実です。
また、上の資料の例では、100億円の事業の場合、国から出るおカネは利子も含めた総額で78.5億円になるはずです。しかし、資料の中で述べているように、このおカネが約束どおりに鳥取市に支払われる可能性は、急速に低くなってきています。国の財政再建の見込みが立たない現在、国はさらに歳出を絞り込まなければならないからです。
今の政府が、高齢化に伴って急速に増え続ける年金や健康保険への支援分などの社会福祉費用を削減することは、国民の大きな反発を招き国政選挙での敗北につながるため、なかなか実行は出来ないでしょう。その代わりに、地方交付税(合併特例債に対する国からの返還分はこの中に含まれる)などの他の費用を減らすことになるのは必然的と言っていいでしょう。国から来ない分は、市が当初の約束よりも余計に負担して借金を返済しなければなりません。「国からカネがたくさん来るから、いっぱい使おう!」と喜んで踊りまくっているのは、事情を良く知らない本物のバカだけです。
さらに、国からのおカネの中身ですが、その約半分は全国の国民が苦労して納めた税金、残りは国債という名の将来世代が負担することになる借金です。安くする方法はほかにいくらでもあったのに、無意味な事業に日本国民の貴重な税金を次々につぎ込んでいる鳥取市を、日本中の人たちはどう思うでしょうか?
バードハットも、新市庁舎も、テレビの人気番組である「ナニコレ珍百景」に放映され、即、珍風景に登録される資格が大いにあると思います。放映後、鳥取市の公式サイトは一瞬のうちに大炎上するでしょうが・・・。
市会議員の皆様は、「次の日本や鳥取市を担う子供たちの明るい未来のために、力一杯頑張ります」と日頃から主張されていることと思います。しかし、合併特例債を使った巨額の事業を次々に承認することは、子供たちに明るい未来を提供するどころか、その小さな肩に国債という名の重い借金をさらに背負わせることにほかなりません。皆様が市議会で実際にやっていることは、ふだん言っていることとは真反対なのではないでしょうか?
/以上
・12/26、市庁舎新築移転位置条例案が再提出され、ついに可決!(2014.12.27)
12月24日に市議会に再提出された市庁舎新築移転の位置条例案は、秋山智博議員が先月の市議選における自らの支援者に対する約束を裏切って賛成に回ったことによって、昨日12月26日についに可決されてしまいました。市議選後にまともな議論も行われないままに反対議員に対するしつような裏工作を行い、賛成に寝返らせたとみるや直ちに採決を強行するという手法は、市民に対する説明責任が全く欠落したやり方です。さらに、二年前の住民投票、今年春の市長選挙で新築移転に反対する票がいずれも五万票を越えた事実、新築移転案を疑問に感じる市民が投票総数の過半数を超えた重みを完全に無視しています。
例えば、最近は資材・建設費の高騰が連日のように報道されているというのに、市庁舎新築移転と周辺整備費用が総額でいったいいくらになるのか、市民の負担費用がいくらなのか、条例再提案に際して市執行部からの説明は何ひとつありませんでした。また今回位置条例案に賛成した議員は、市民負担の総額も知らぬまま、前市長の書いた筋書き通りに「ただ長いモノに巻かれ」て賛成しました。彼らの行動は鳥取市民に対して本当に無責任極まりないと思います。
鳥取市を、住民投票で住民に支持された結果をひっくり返した日本政治史上初の自治体にしてしまった、彼ら賛成議員の責任は極めて重い。このような住民無視の行政を二度と許さないために、全国の自治体と将来の鳥取市民への教訓とするために、彼ら22名の賛成議員の名前を下記に記録しておきます。
会派
「新生」 :上杉栄一、下村佳弘、山田延孝、岡田信俊、星見健蔵、金谷洋治、西村紳一郎、横山明、寺坂寛夫、魚埼勇、
吉野恭介、砂田典男、雲坂衡、房安光
「公明党」:桑田達也、平野真理子、石田憲太郎、前田伸一、田村繁巳
「無所属」:長坂則翁、秋山智弘、足立孝史
さて、今回の採決を受けて「市庁舎新築移転を問う市民の会」は、直ちに各報道機関あてに以下の抗議声明を発表しました。全文を以下に示します(市民の会のホームページの掲載内容と同一です)。ご一読ください。
「位置条例再提案についての抗議声明(PDF)」
・11/16投票の市会議員選挙に向けたチラシを作りました。(2014.10.23)
来月の11/16(日)に鳥取市市会議員選挙が行われます。32名の定員に対して40名以上が立候補を予定しており、かなりの激戦になると予想されます。
市庁舎問題が主要な争点ですが、今の鳥取市には、下の記事で指摘した高額な保険料など、市庁舎以外の問題点も山のようにあります。その点を指摘したチラシを作りました。今後、市内各所で配布する予定ですが、この場でも内容を確認していただきたいと思います。
右の図をクリックするとPDFファイルが開きます。
立候補を予定している42名の方に対して、「市民の会」から「市庁舎新築移転に賛成、または、反対のどちらですか?」という公開質問状を10/8にお送りしています。このチラシの中には、この質問状に対する各立候補予定者の回答の一覧表も載せています。ぜひ、ご検討の参考としてください。
・10/6に市議会で「旧市立病院跡地への市庁舎新築移転」条例が採決
されました。結果は否決!(2014.10.09、この記事は「市民の会」トップページの10.07掲載記事と同一です。)
昨日10/6に市議会本会議において、「本庁舎を旧市立病院跡地に移転新築する条例案」、いわゆる位置条例案に関する採決が行われました。その結果、出席議員35名中賛成23名、反対12名で位置条例成立に必要な出席議員の2/3に達せず、位置条例は否決されました。この採決の直前まで各議員に対する裏工作等の噂など、様々な情報が飛び交っていました。従来の意見を曲げることなく反対をつらぬかれた市議会議員の皆様には深く感謝いたします。
昨日傍聴された市民の皆さんはよくご存知だと思いますが、傍聴席の中央では前市長が自信たっぷりの笑顔を見せながら開会前から座っていました。勝利を確信していなければこのような行動をとるはずもありません。従来の勢力分野から見て不成立が予想される位置条例を、市執行部がこの時期にあえて出してきた背景には、反対派を間違いなく切り崩せるという見込みが当初からあったものと推測します。
さて、この位置条例に対する各議員の投票結果は次のようになります。約一か月後には市議選があります。誰がどのように行動したのかをよく確認してから、投票にのぞんでいただきたいと思います。
欠席(棄権):中村晴通
反対:上田孝春、両川洋々、橋尾泰博、児島 良、寺垣健二、椋田昇一、木村和久、角谷敏男、伊藤幾子、田中文子、
太田 縁、吉田博幸
賛成:中西照典、森本正行、房安 光、有松数紀、山田延孝、島谷龍司、寺坂寛夫、砂田典男、入江順子、上杉栄一、
上紙光春、下村佳弘、金谷洋治、高見則夫、中島規夫、湯口史章、田村繁已、桑田達也、谷口秀夫、
平野真理子、石田憲太郎、長坂則翁、岡田信俊
採決に先立って、賛成の与党三会派(新、清和会、公明党)から上杉氏、金谷氏、桑田氏の三名が賛成演説を行いました。その内容をまとめると主な賛成の理由は次の二点となります。各項目の下に反論を述べます。
(1)「市庁舎整備は喫緊の課題である。早く結論を出すべきである。」
⇒ 本庁舎の耐震対策が急を要することについては、もとより異論はありません。しかし、そもそもこの問題に関しては、二年半も前の住民投票の結果である「現本庁舎の耐震改修実施」で結論が出ています。住民投票の翌日に竹内前市長は「投票結果を尊重する」と記者会見で明言しました。この言葉に沿って、市執行部で耐震改修の具体案の検討を始めていれば、この問題はその時点で一件落着していたのです。しかし、竹内前市長はすぐに態度を一転させ、市議会にこの問題を丸投げしました。市議会与党も、受けなければそれで済んだはずのこの件をわざわざ引き受けて、特別委員会を設置、ここから混迷が始まりました。
半年ほどすったもんだしたあげく特別委の出した結論は、「住民投票時の耐震改修案の約20億円より高額になることがわかったので実現不可能」というものでした。彼らのはじいた数字がより高額になるのは当然の話なのです。庁舎の耐震改修費20億円は周辺整備費用を含まず、対案の新築移転案の75億円も同様に周辺費用を含まないことを関係者全員で合意した上で住民投票を実施したのですが、特別委はこの20億円に「周辺整備費用が約20億円かかるからこれも乗せるね」と言い出して、「合計で43億円もかかることが判明したので、住民投票結果は実現不可能」と騒ぎ立てたのです。対案の新築移転案の周辺整備費用も厳密に見積もってから両者を再度比較しようというならまだしも、新築移転賛成派は耐震改修案にケチをつけることだけが目的であり、その主張には客観性も公平性も何もないのです。
たとえて言えば、スポーツ選手が一度真剣勝負をしたが試合に負けたので、ルールブックを自分で勝手に書き換えてから、「ルールが変わったからさっきの試合は無効だ。もう一回勝負をしろ!」と大騒ぎしているようなものです。実にくだらないお話なのですが、これを地元紙が脚色し記事に仕立てたことで、市民の一部には何だかもっともらしい話のように受け取られてしまったのです。
ついでですが、地元紙の記事が常に市執行部寄りの論調になることは、ある意味で当然のことなのです。一部の市民には常識ですが、地元紙とそのグループ企業にとって鳥取市は大口の優良顧客です。毎年かなりの額の広報料が、市から市政広報費の名目でこのグループに支払われています。市による巨額事業も時々受注しています。一例をあげれば、平成16年からの三年間に「新鳥取市広域CATV網整備事業」の名目で約37億円の事業が実施されています。県東部でケーブルテレビをハード設備も含めて運営している会社は一社しかないので、どこが受注したかはおわかりでしょう。市庁舎が新築移転した場合には、防災用の名目でケーブルテレビ網なども一緒に新しく導入するのでしょうか?
なお、この「新鳥取市広域CATV網整備事業」は合併特例債を適用した事業の中では一番巨額の事業であり、約37億円のうち35億円が合併特例債と言う名の鳥取市の新たな借金となっています。国の約束では、この元金35億円とその利子を合計した金額の約3割が市の負担、約7割は後で地方交付税の中に含めて国が返還することになっています。しかし、地方交付税の中に「合併特例債返還分」という名札がついて仕分けされたお札が含まれているわけではないので、本当に返還されているかどうかはよくわかりません。鳥取市に交付される地方交付税は昨年度の240.7億円がピークで、今年度はこれよりも約5億円減少しています。さらに、来年度から五年間かけて合併算定替という優遇制度が段階的に廃止されるので、平成32年には地方交付税が今よりも約57億円も減らされることが確定しています。
国は平成32年までにプライマリーバランスをゼロにする、つまり国債返済分を除いた国の支出と国の税収が等しくなるようにすると国際的に公約しています。しかし、現在のプライマリーバランスは約19兆円もの大幅赤字であり、「消費税を8%から10%に上げるだけではこの公約の実現はむずかしく、国の支出抑制も並行してすすめなければならない。」というのが経済界の大方の見方です。地方交付税も抑制の対象であり、実際、地方交付税の総額は平成22年度の17.48兆円をピークとして年々減少し、今年度はピークの8%減の16.14兆円です。高齢化に伴い医療・介護関係の社会保障費が今後も急速に増え続けるので、地方交付税がこの先さらに減らされることは確実です。国の担当者は大幅に減額された地方交付税を指さして、「合併特例債返還分もこの中に含めていますよ」と言うことでしょう。合併特例債を使えば使うだけ、今まで地方交付税を使って実施していた市の多くの事業が継続不能になるものと予想されます。新築移転賛成派議員は「合併特例債の期限が迫っているから、早く新築移転を決めなければ!」とことあるごとに主張していますが、現在の国の財政状況を踏まえれば、合併特例債を使えば使うだけ市民の将来の負担が増えることはほぼ確実と言ってよいのです。
ともあれ、市政、特に市庁舎問題に関する地元紙の記事の内容については、その客観性について十分に確認していただきたいと思います。時々図書館で他紙の記事と比較してみることをお勧めします。市民生活の向上と格差是正も含めた地域全体の発展に奉仕するのが、地元メディアの本来の役割です。「自社の利益を増やすために世論を誘導しているのではないか?」と記事自体の客観性が疑われるようでは、地元紙の存在意義が問われることになります。
さて、竹内氏の下で八年間も忠実に副市長を務めて竹内氏から「自分の後継者」と指名された現市長と新築移転賛成派は、一年前に竹内前市長が再度持ち出してきた新築移転案を何が何でも成立させようとしています。今では、「庁舎整備案がいつまでも決まらないのは反対派がずっと反対しているからだ」と半ば居直って責任転嫁しようとさえしています。この二年半にも及ぶ混迷の原因は、住民投票結果の受け入れをいったん表明しておきながら一転して新築移転に再び執着した竹内前市長と、その前市長に言われるままにふらふらと右往左往しながら竹内氏についてきた市議会与党にあることは明らかです。皆様ご承知のように、住民投票結果を否定した自治体首長は竹内氏が日本で初めてです。他の自治体では、すべての首長は住民投票結果に素直に従ってそれまでの政策を直ちに変更しています。
それにしても、いったいなぜ、竹内氏がこれほどまでに新築移転に固執するのか不思議です。県内の自治体で、本庁舎の耐震性が不足するからと旧庁舎を解体して新築し直した例は一件もありません。みな旧庁舎を耐震改修しています。倉吉市は’98年に耐震改修完了、境港市も’09年に完了、ご存知のように鳥取県庁も’11年に完了しています(米子市庁舎は’82年竣工と新しく、耐震性は現在の基準に適合するので改修の必要なし)。いずれも今後は使える限りは使うとしており、メンテナンスをしっかりやれば改修後50年は持つだろうとのことです。
国民健康保険料や介護保険料が県内他市に比べて断トツに高額で、ほとんど県内最高レベルにあると言われている鳥取市で、どうしてさらに市民の負担を増すようなことを平気でやろうとするのでしょうか。竹内氏と特定業界との間に、何か隠れた約束があるのではないかとさえ疑いたくもなります。
(2)「住民投票案で支持を得た現本庁舎の耐震改修案は、再検証の結果、当初の金額では実現できないことが判明した」
⇒ 上で説明したように、この主張は元々比較対象の範囲外としていた周辺整備費用をあとで勝手に上乗せして騒いでいるだけなのですから、始めから正当な根拠にはなりません。わがままな子供が、「あっちのオモチャの方がいい!」と売り場に座り込んで、いつまでもダダをこねているようなものです。恐ろしいのは、このような客観性も公平性もない根拠に、市議会の2/3に近い議員が賛成していることです。位置条例が否決された当日の夕方のテレビのローカルニュースでは、一市民が「否決は当然だ。鳥取というのは実に不思議な街だ」と駅前でインタビューに答えていましたが、本当にその通りだと思います。
周辺整備費用について考えてみると、今回の位置条例の市執行部による提案自体が異常です。なぜならば、この条例は「市庁舎を旧市立病院跡地に新築移転するか否か」に関するものですが、新築移転に関する全体費用はまったく不明です。新築移転に要する費用が明確でない状態であるにも関わらず、その事業の賛否を問うという実に奇妙な議会です。
執行部は昨年11月に発表した「鳥取市庁舎整備全体構想(素案)」の中の旧市立病院跡地への新築移転を内容とする整備案(1)をベースとして今回の位置条例を提案してきたようです。素案の中にはこの整備案(1)に要する費用は約66億円との記述がありますが、この費用は本体の建設費と移転費等であり、住民投票後の特別委で問題になった周辺整備の費用は含まれていません。旧市立病院跡地の土壌は未調査であり、汚染物質が含まれていれば十億円以上の処理費用が必要となるでしょう。この跡地のインフラも周辺道路も未整備であり、周辺整備費用として多額の費用が必要になるはずです。
さらに、連日のように新聞紙面で報道されていますが、最近の建設費の異常な高騰の影響も見逃せません。今年の7/16付の日経新聞の記事を引用すると、「・・・築地市場(東京・中央)を江東区豊洲に移転する新市場の主要施設の建設工事。昨年11月の入札が企業の辞退で成立せず、今年2月に予定価格を6割も引き上げてようやく成立した。・・」とあります。これだけ高騰するのであれば、改めて最近の建材価格と人件費に基づいた建設費の再見積もりを行って議会に提示するのが、行政者としての当然の責務です。
ここでちょっと考えてみてください。民間企業が100億円程度の費用をかけて本社または工場を新築する場面を想像してみてください。新築か否かを決定する役員会の場で、必要な全体費用の数字が提出されていないということがあり得るでしょうか?概算であっても何らかの数字が提出されているのが会議開催の前提であり、それにもとづいて客観的に是非を議論するのが当然であり、世の中の常識です。こんなこともできないコスト管理の甘い企業はすぐに倒産してしまうでしょう。今回の条例に賛成した議員は、十二年間の竹内市政に順応しているうちに世の中の常識を忘れてしまったようです。
特に問題なのは、位置条例採決の直前に賛成演説を行った上杉栄一氏、桑田達也氏の二名です。この二人は、住民投票直後の特別委で元の耐震改修費に周辺整備費を上乗せして「高い!実現不可能!」と騒ぎ立てた直接の当事者です。いわば、市庁舎問題の決着を二年半も引き延ばした責任者の片割れと言ってもよいのですが、今回の賛成演説の中では新築移転に要する総費用についても、周辺整備費用がいくらなのかという点についても、ひとことも触れませんでした。このことは、彼らがあの特別委で耐震改修案の費用の問題をしつように追及したのは、市民の負担を少しでも減らすことが目的であったのではなく、住民投票で支持された耐震改修案にケチをつけてつぶすことだけが目的であったことを明瞭に示しています。
議員には、市民から集めた税金と、後で市民が税金を通じて返済することになる国や市の借金、これらを合わせたお金を市の予算として適正に無駄なく使うことを提案し、かつ監視する義務があります。今回の位置条例に賛成した議員の皆さんは、新築移転に全体でどれだけの費用がかかるのかを知らず、市民の負担がどれだけ増えるのかを知ろうともせず、ただ前市長の書いた筋書きに付和雷同して、巨額の出費が確実である事業にいとも簡単に賛成票を投じました。本当に市民に対して無責任であり、市民を代表する議員としては不適格であると言わざるを得ません。
/以上
・鳥取市民に緊急警報!! 新聞折り込みなどによる市からの広報にご注意ください!(2014.04.04)
市議会の市庁舎整備調査特別委員会は3/14に「耐震改修案否決」の動議を強行採決、3/20にはこの採決内容を骨子とする同委員会の中間報告が本議会で承認されました。この強行採決の内容は、「新築場所を問わず新築でさえあれば良い」という意見を寄せ集めたものです。これからどうするのかという点については、何ひとつ決まっていません。詳しい経過については、上の「市庁舎新築移転を問う市民の会」のリンクをクリックして同サイトの最新記事をご覧ください。
この時期にわざわざ耐震改修否定の動議を強行採決した理由は、4/13の市長選投票日を前に、市民に「耐震改修案は否決された」というイメージを植え付けるためであることは明らかです。市民に対する情報操作によって、市長選と市庁舎問題を現在の市長側に有利に進めようとした、それ以外に理由は見当たりません。強行採決を主導した中西照典委員長は、新築移転を主張する前副市長の陣営の選挙対策本部長を務めています。誰が見てもミエミエのイナカ芝居と言ってよいでしょう。
市議会は新年度の広報費485万円を当初予算外に追加で承認しています。この広報費は、「市庁舎整備の方針は、議会でも新築移転に決まりました」という内容の宣伝に使われる可能性が高い。特に、市長選に大きな影響を与えるこれからの一週間のうちにに、市の広報として新聞の折り込みなどによって全戸配布される可能性が非常に高いのです。こんな、本来選挙に対して中立であるべき市当局が、市民に対する大々的な情報操作を行って特定の候補に味方するという選挙違反スレスレの手口を、絶対に許してはなりません!
これから4/13までの間に、そのような広報が出なければ幸いです。もしも、そのような内容の広報が出た場合には、「これが例の広報か!」と、みんなで鼻で笑ってください。そして、将来の世代に対して、今までの鳥取市政がいかに不公正で不明朗であったかを伝えるために、こんな市政を二度と許さないために、その広報を証拠品として大切に保管しておきましょう。
/以上
・「市民のみなさん!ご存知ですか?」(子や孫の世代に大きな借金を残すな!)
(2014.03.28)
私たち「つくる会」の主張をチラシにまとめました。下の画像をクリックし拡大してPDFとしてご覧ください。
なお、選挙期間(告示日から投票日まで)中に、候補者の名前の入った文書をダウンロードし印刷して配布することは、公職選挙法によって禁止されています。この間は、印刷しても御自分での利用の範囲内に限定してください。
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/以上
「開かれた市政をつくる市民の会」連絡先 mail: mailto@sustainabletori.com
住所:〒680-0051 鳥取市若桜町39 電話:090-8247-5488